作品の完成

 電撃大賞を目標に決めてから、自分は狂ったような勢いで、毎日小説を書き続けました。

 朝は早起きをして出勤前に執筆、休み時間には勤務中に浮かんだ構想をメモし、帰宅後は寝るまで小説を書き続ける。そんな生活を重ねた結果、作品が無事に完成……する前に、身体を壊して点滴しました。はい、ただのバカですね。

 とはいえ我が名誉のために弁解しておくと、点滴するほど体調を崩したのは、ブルーハワイミルクティーのせいだと思います。駅前のドリンクスタンドで売っていたそれは、まるでカリブ海の入り江を思わせるような、ロマンチックな深い青色のお茶(?)でした。見た目は最高にキレイでしたが、味は「何故これにゴーサインを出した!」と発案者を問い詰めたいほど、信じられないレベルの不味さ。そして翌朝、ブルーハワイのように真っ青な下痢が出ました。皆様、もしシンガポールへ旅行に行かれても、ブルーハワイミルクティーだけは決して飲まないよう注意してください。

 話が変な方向へそれましたが、毎日コツコツと書き続けた結果、3月中旬に初めての小説が完成しました。最終的な枚数は、42字×34行で94枚。80~130枚という電撃大賞の規定枚数を満たしています。あの時の興奮は今でも忘れられません。書きかけだった北京時代を含めると、実に一年半近くかかっているので、無事に完成した感動もひとしおでした。


 さて、本文の執筆が終わった後は、印刷と発送の作業が待っています。

 今でこそウェブ応募が当然ですが、その当時ネットで投稿を完了できる新人賞は、まだ一つも存在しない状況でした。かろうじてファミ通文庫のえんため大賞が、その頃からデータ投稿を受付していましたが、それにしたって記録メディアの郵送が必要です。たった7年前の話ですが、以前はそれが常識でした。

 当時プリンターがなかった自分は、誰も見ていない隙を見計らって、大胆にも職場で原稿を印刷完了。「私用は控えめに」と書いてあったのですが、つまりそれは控えめなら私用に使えるという意味で、94枚はおそらく控えめの範囲内に違いない。そんな自己解釈です。何度も繰り返しアピールしますが、くれぐれも真似をしてはいけません。そもそも『らくだ図書館(カクヨム版)』は、最初に注意喚起した通り、真似をすると落選する禁断のエッセイです。


 なにはともあれ、投稿が無事に完了!

 手探り状態で行きつ戻りつを繰り返しながら、第16回電撃小説大賞へ、初めて書いた作品を応募することができました。

 それにしても、印刷って楽しいですよね。

 書いた小説が形になる瞬間なので、今でも印刷は一番好きな作業です。

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