第30話 心のふるさと
皆さま、いつも ありがとうございます。
今回も!
いただきましたよ、リクエスト!
リクエストくださった作家さま、ありがとうございまっす♡
お題は、ヨーロッパについて。
あはは。バレバレですよね。
はい。ヨーロッパ好きです。
世界の地域で一番好きな場所です。
──行ったことあるの?
なんてお尋ねいただいて恐縮なのです。
すみません。
私、本州から出たことないです。
憧れの地、ヨーロッパ。行きたいとは思っているのですが、行ったことがないのです。
ですので、リクエスト的には文化や食事などについて、知るかぎりのことをお答えすることになります。
といっても、これまでに作品の中で必要に応じて調べてきたことを語るだけになってしまいます。お役にたてますかどうか……。
そして、おもしろいかどうか……。
ごめんなさい。
でも、大好きな地について語るのは嬉しく楽しいです。
昔から、好きなんですよ、ヨーロッパ。
とくに中世が好きです。
ファンタジーの故郷って感じですよね。
音楽とか絵画とか建築とか教会とか、わくわくドキドキします。
きっかけは、なんだったろう。
小さなころから美しいものが好きで、絵画、音楽、宝石、建物といったものを興味深く思っていました。
それらが一点に集中する場所が、ヨーロッパです。
とくにイタリアは最高です。
音楽、絵画、彫刻、建築、料理。どれをとっても芸術的。
前世は宮殿に住まうネズミか、街から街へと移動する鳩ででもあったのではないか、と半ば本気で思っています。
好きなものは、知識欲を刺激します。
イタリアについて、いろいろと調べました。
そのころイタリアを舞台に物語を書いていたせいもあります。
イタリアは、日本と少し似ています。
20の州に分かれていて、地域ごとの特色が強く、都市部なんかはとくに、おれはイタリア人だ! というよりも、おれはローマっ子だ! という感じです。江戸っ子、浪速人、名古屋っ子……みたいな感じですかね。
そもそもイタリアはヨーロッパの中でも新しい国です。
1861年にイタリア王国成立。
1946年から共和制。
それまでは、各地が小国でした。
その昔、アンデルセンがローマからナーポリへ小旅行をするのに、
さらに遡れば、中世末期からルネサンス期にかけて、多数の
コムーネとは。
11世紀以降、商業活動の活発化と地中海貿易の発展などによってイタリア北部の諸都市が力を強めて、自治都市を形成しました。
ピーサ、ミラーノ、ジェーノヴァ、ヴェネツィア、フィレンツェ……これらが
最初から統治者がいたわけではない都市国家ですが、13世紀に入ると都市内部の党派間の対立や都市相互の対立が激しくなって危機に陥り、権力の一点集中をはかります。そうして権力を握った者を『シニョーレ』といい、その政治体制は『シニョリーア制』と呼ばれます。
シニョーレになった名家が公や候の称号を得て地位が安定し、世襲化すると、今度は
はい。猗綺子の大好物です。
王さま万歳!
それからいろいろあって近代化していくわけですが、私の知識的には大したものがないので、割愛します。
こうした地域差、というものが最も顕著なのが、料理ではないでしょうか。イタリア人に言わせると、『イタリア料理』なんて存在しない、のだそうです。
あるのは各地の郷土料理だけ。
そんなところも、ちょっと日本と似ている気がしませんか?
オリーブオイルやトマトというイタリア料理の代表的食材を使うのは、南部の特色だそうです。地野菜、海の幸も多くは南部の料理につかわれる食材。
中部は、ジビエやトリュフなど、野生の食材で有名。
北部では、バターや生クリームなどの乳製品、お米、トウモロコシの粉を火にかけて練り上げたポレンタを使った料理が多い。
パスタも土地によっていろいろ違います。
スパゲッティ、スパゲッティーニ、フェデリーニ、カペッリーニ、リングイーネ、フェットチーネ、ブカティーニ、キタッラ、ペンネ、リガトーニ、ファルファッレ、コンキリエ、フジッリ、オレッキエッテ、ガルガネッリ、カサレッチェ、カバタッピ、タリアテッレ、タリオリーニ、パッパルデッレ、ラザーニャ、ピーチ、ラヴィオリ、アニョロッティ、トルテッリーニ、マルタリアーティ、トローフィエ、ニョッキ。
──呪文か!
そのパスタの調理法も、地域によってさまざま。
アサリを使ったヴォンゴレ・ビアンコはナーポリの郷土料理。
イカスミのパスタ、スパゲッティ・ネーロはヴェネツィア。
牛挽肉に時にはソーセージやベーコンを合わせ、玉ねぎ、にんじん、セロリほか香味野菜とポルチーニを、トマトソースと赤ワインで煮込んだミートソースのパスタ、ボロネーゼは、ボローニャ。
フレッシュ・バジルと松の実、ニンニク、ペコリーノチーズとパルミジャーノチーズをすりつぶして混ぜ合わせ、ペースト状にしたソースを合えたジェノヴェーゼは、ジェーノヴァ。
羊のチーズであるペコリーノ・ロマーノと豚肉、玉ねぎやニンニクをトマトソースで合わせ、赤唐辛子をアクセントにしたパスタ、アマトリチャーナは、中部ラツィオ州のアマトリーチェ。
卵黄とチーズ、パンチェッタを黒こしょうできりりとさせたカルボナーラ(生クリームを入れるのは日本のアレンジだそうです)はローマ。
イタリア料理店でずらっと並んでいるパスタの種類も、日本ならではの光景なのです。
ところでイタリア料理はフランス料理の原型ともいわれます。16世紀、フィレンツェの超名門貴族、メーディチ家のカテリーナがフランス国王に嫁いだ折、連れて行った料理人たちがフランス料理界に洗練という新風を吹き込んだのだそうです。ちなみにフォークを宮廷に取り入れたのも、彼女だそうです。それまでは……手づかみ。フィンガーボウルは必須でございました。(そのお水を飲んじゃう王さまもいたそうですが)
さて、ヨーロッパの食事は、1日4食が基本です。
朝は珈琲と軽いビスケットなど。
10時頃に軽食。
昼食と夕食は、どちらかがフルコース。
夕食の時間は夜8時くらい。
……つまり、職場で軽食タイムがあるってこと……羨ましい!
それだけではないのです。
日本では、会社で飲み会とかありますよね。仕事が終わった後、皆で繰り出す、あれです。
あれ、イタリアでは異常とみなされます。
とある会社の日本人課長が食事のセッティングを部下に頼んだそうです。彼も日本人。イタリア人メンバーに承諾を取り、予約の電話をし始めたところ。
「夕食? とんでもない!」
と、遮られたそうです。
いわく。
「妻も一緒か?」
「子供を親に頼めるかどうか」
独身者まで、
「恋人が……」
「
と言いだし、
なんとなんと、
「残業手当は?」
と訊いてくる者までいたとか。
すごい。
そして、ランチでフルコースをたっぷり三時間。
堪能して、オフィスに戻り、残りわずかな時間を和気藹々と過ごしてから退社。
しかし、羨んでばかりはいられない。
彼らは、自分の職責を果たし、仕事を守っているからこそ、そうした権利をも得られているのです。
たとえば、ヴァカンスから戻れば、三週間分の仕事が待っている。
郵便局や銀行、レストランで、いかに忙しくても、自分の受け持ちの窓口や席は、自分だけで捌かなくてはならない。
頼まれもしないのに人の仕事を手伝うということは、その人の尊厳たる仕事を奪うことだというのです。
自分がいなくても代わりの者がいるとしたら、安心してヴァカンスになど行けない。
だから、彼らは自分と他人の仕事の領分を守り、団結し、組合を作り、ストライキをする。
経営者と労働者の利益は対立するものだと知っていて、かつ労働の尊さ、労働者の弱さをわきまえているから。
非常に人間的ですね。
ちょっと待たされたくらいで怒っていては、他人と自分の尊厳を踏みにじることになるのかもしれません。
さてさて、まだまだ語り足りないくらいですが、ごちゃごちゃになってはいけないので、とりあえず、ここまでに。
ヨーロッパ、とくにイタリア話については、たぶんまたちょこちょこ書くと思います。勉強の復習にもなるし、楽しいし、20年来の作品に熱が入れられそうだし。
さてさて。
次回は私が体験した、不思議な話をお届けいたします。
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