第7話 熱愛のアルビノーニ

 あれは慥か、中学一年生の頃。

 私は、お気に入りのラジオ番組を予約録音するのが日課でした。

 『朝のバロック』

 いまは違う題で放送しているようです。



 皆さま、いつも ありがとうございます。

 今日もご来訪、感謝いたしております。



 ある日。

 帰宅後に録音してあるカセットテープ(カセットテープなんて知らない年代の人もおられるかしら)を聴いていて、胸が雷電に打たれました。


 独奏者、ハンスイェルク・シェレンベルガーさま。

 管弦楽団は、イタリア合奏団だったか。


 オーボエ協奏曲d-minor作品9-2。第1楽章。


 夢の宮殿。

 光の城郭のように美しい。


 典雅で、艶麗で、煌びやかな曲。

 脳天から星が降りてきたかのような悦楽と興奮。

 もう、鼻血が噴出しそうでした。


 この曲は、とある作品のテーマ曲であり、挿入歌です。

 それは小学生の時に見たドラマと、中学生のときに見た夢を繋ぎ合わせたような物語。

 チェンバリストの結架と、オーボイストの集一の恋物語です。

 そう。カクヨムでも発表させていただいた作品の、本編です。


 一度は完成させた作品なのですが、10代の少女の浅はかな文章表現と展開が恥ずかしく、このままでは発表できないと、いまでも書き続けています。

 私にとって、特別な作品の ひとつです。



 トマーゾ・ジョヴァンニ・アルビノーニ。

 1671年、イタリアのヴェネツィアで、裕福な商家の長男として産声を上げた。

 彼は生活のために、求められて作曲するような必要がなかったため、非常にのびのびと、歌劇オペラを55曲、協奏曲コンチェルトを59曲書いています。出版作品数は300にも のぼります。そのため、アマチュア作曲家──芸術愛好家ディレッタント──と自称していました。そして、協奏曲を常に3楽章のスタイルで書いた最初の作曲家であったといわれています。

 彼の生み出す優れた旋律メロディーと個性的なスタイルから、生前はコレッリやヴィヴァルディと並ぶ人気を誇っていたといいます。

 J. S. バッハは彼の曲を研究し、彼のトリオ・ソナタを教材として用いていたそうです。


 ちなみに、『アルビノーニのアダージョ』という沈痛な曲想の曲がありますが、これは彼の作曲ではなく、レモ・ジャゾットが1945年に作曲したもので、バス声部にアルビノーニの旋律が使われているにすぎません。暗鬱な曲調は嫌いではないですが……。


 やはり私は高貴で華麗なアルビノーニのほうが好きです♡


 次回もオススメ作曲家を語らせていただきます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る