第26話 最終話 救出ケースファイル2 ファイナル 新たな時代の幕開け! 異世界との交流が始まる日
「さてっと。こんなもんかな。後は誤字脱字の修正っと。」
ここはLCRA本部の中にある資料室兼執務室。
転移転生行方不明者捜索機関の中でも、国民捜査官という現場担当の特殊な立場であるリイナに宛がわれた特別な場所である。
林立する整理棚の中には警察庁や外務省・果ては上の国家公安委員会等より収集された国内外で発生した拉致と思しき事件に関わる資料や、未だ解明されていない世界中のオーパーツ・奇書・言語集のコピーやらの門外不出、超トップシークレットが唸るほど犇(ひし)めき合っていた。
怒濤のデルゼルス救出劇より数日程経った7月半ば。世の中は夏休み色一色に浮かれ立っていて、すれ違う学生も笑顔だ。
そんな一日の日照時間も長くなる時季の夕日も傾き始めた頃、書類から目を離した彼女は一伸びしつつそう呟いた。
15歳であるリイナは本来であれば夏休みを心待ちにするような学生であるはずなのだが、普通の人を遥かに越えた学力と運動能力が国を動かしてしまったことにより自身は既に昨年、飛び級にてM・I・T(マサチューセッツ工科大学)を次席卒業している身である。
つい先日学校に復帰した一つ上の舞のように今更通学する必要はないので通常の手順通り、任務終了の報告書作成に追われているのだ。
だが、事件があるよりは遥かに容易(よ)い。
どんなに忙しくても人の生き死にが関わるよりは遥かによい。リイナは優しい故にそう思うのだ。何もないのが一番である。ストレスフリーだ。
だけど………
「ねえ?こんな所で資料ばかりに目を通してて飽きないの?シャンク。」
「…いや、別に。」
何故、いくつかの椅子の空きがあるこの部屋でわざわざ自分の隣に座り、自分で選んできたであろう山積みの資料に目を通しているのか皆目検討もつかないリイナは、ジト目をして呆れ気味に隣の男に問うが返ってくるのは素っ気ない返事であった。
今尚、厚労省やら理研やら保健所等から検査と称する実験を受け続けて辟易している元魔王(シャンク)である。帰還してからというもの、貪るようにこういった資料やらに目を通す姿は鬼気迫るものがある。
どうやら、彼にとって良くも悪くも今回の任務で得たものは大きかったようだとリイナは推古したのだった。
「…しかし、あの方が直接現場にお出でになるとは思わなかったよ。」
反応が薄い隣に期待する事無く、独り言めいて呟くリイナ。
思えばあれも大変な青天の霹靂であったなと、頭で腕を組み椅子の背もたれによっかかりながらデルゼルスでの救出劇中に起こった、げに恐ろしき邂逅を振り返るかのように目を閉じ懐古に浸る。
~~~~~~~~~~
「これが科学という…僕らの世界の…魔法だ!!」
リイナの気合籠る一言で直上から現れたのは、このデルゼルスには存在しない(いや、科学最隆盛期であった太古のデルゼルスであれば似た機構を持つメカがあったのかもしれないが)現在の地球製の二機のヘリコプターと呼ばれる乗り物であった。
ローターが奏でる爆音は、唖然とする人々の理解を置いてけぼりにし悠然とリイナの後ろに着陸を果たす。
魔法が生活基盤に溶け込んだこの世界の一般の人々には、それ(魔法)以外で空を自由に飛べる術や知識などあるはずもなく、魔法の他は古代の叡知以外で知識にはない故に国王以下要職にある者達は言うに及ばず、三人の勇者ですら目を見開いて只々科学の叡知であるヘリが着陸するのを見守る他無いのであった。
ローターから発せられる爆音が徐々に静かになっていき、高速回転をしていたそれが惰性を失った頃CH-47チヌーク輸送ヘリから出てきたのは、左肩に日本の所属を表す日の丸があしらわれたカーキ色の迷彩服を着用した数名のいかにも屈強そうな男達である。
広場に集まる人にとっては自衛隊というものを知らないばかりか、デルゼルス世界に存在すらしない装備に身を包んだ百戦錬磨の雰囲気を漂わせる彼らが一糸乱れず隊列を組んでいくのは周囲の人々にとっては壮観の一言。動きだけでその練度と美しさが周りに伝わるくらいであるから、その潜在能力的な恐ろしさは言うまでもなかろう。
後ろで整列し終わって指示待ちであろう頃合いを見計らい、にこやかに笑みを浮かべ来訪者に労いの言葉を発しながら振り向くリイナ。
ここに一つの誤算があるとも知らずに。
あの時、張っていた緊張を解かなければよかった…とは後のリイナ談。
「長旅(?)ご苦労様です。すみませんね自衛隊の皆さん。緊急要請(エマージェンシー)に応えて貰っ…て、えっ?」
フランクなリイナの口調から力が消えていき、表情も満面の笑みから蒼白へと瞬時に変化する。全身の血の気がサーっと引いていく感覚に気を失いそうになるのだった。
「我等…の力が及ばず、皆様のお手を…煩わ……せ…て……」
その言葉尻が力無いものになっていくのは当然である。整列し終わった男達が待っていたのはリイナの指示ではなく、もう一機のEC-225LP政府専用要人輸送ヘリから降りてくる二人の男のためであったからなのだ。
だがしかし、そのような空前絶後の状況の中でもリイナの持ち前の思考速度の早さが期せずして仕事を果たすことになる。瞬時に状況を判断し、
「遠路遙々御足労頂きまして申し訳ありません!」
そう言ってフランクな態度より一転し陸自式最敬礼を取る彼女にこの世界の者達は、更に理解不能といった顔で見ている事しかできなかった。
それも無理からぬ事。ヘリのタラップから現れた二人は日本にいても尚、日常ではお会いすることも儘ならない国政 等(・)に携わる御方らであったのだから致し方あるまい。
しかしながら、リイナであったからこそ国の上級役職者に対するしっかりとした場にあった行動を取れたのだ。これが舞であったなら…いや、敢えて考えるまい……
そうして整列した自衛隊員に守られるかのように降り立った二人は、まず周りの風景を見渡して異世界の情緒を感じながらゆっくりと地を踏み締める。正面で最敬礼を取り緊張した面持ちで出迎えるリイナへ、タラップより降り立った軍人気質な表情でお堅いスーツを着こなす男と、明らかにそちらとは格が違うもう一人の男性がしっかりとした答礼を返された。
一歩前に歩みを進めピンとした姿勢にてリイナの正面に立った高貴な雰囲気の男性は、すぐに優しい視線で人懐っこいような柔和な笑顔をなされると口を開く。
「お疲れ様です。此度の任務、大変であったでしょう?お疲れ様です。私が至らぬばかりに、貴女方には責任の重いお仕事を課してしまって本当に申し訳ありません。ありがとう、もう大丈夫ですよ。後は彼らにお任せください。」
シャンクと舞にも笑いかけた後、リイナの左手を両手で握られると労いの言葉をお掛けになられたのであった。
この場に集まったこの世界の人々はリイナが蒼白の表情で対応する男性とのやり取りを一心に見つめる。見た目は痩身であり戦士でもなければ魔法使いでもなさそうなのであるが纏う雰囲気は人としては余りにも神々しく、気がつけば国王以下大半が正座からの座礼で迎えていた。
舞は口に手をくわえて
「アワワワッ……」
とか言ってるし、シャンクに至っては額より汗を流しながら片膝をつき頭を垂れている。舞以外は、理由は理解していないかもしれないが体が無意識レベルで反応しているのだ。
日本との繋がりが明らかにされた今、この世界の人々の魂の記憶は目の前に居る不可思議な存在の男性は尊き存在であるのを無意識下にて理解していると言うことだろうか。
その高貴な出で立ちの男性より労いと労りの御言葉を賜ったリイナはその一言で思わず感極まってしまい、またもや涙腺が決壊してしまっていた。
最敬礼をしたままで
「どんでもございまぜん!あでぃがどぅございまずぅ……」
と、咽び泣いたまま返答を返し続けることしかできない。
「こっこの方は……!一体…?」
「ニワタリ神様と同等の不思議な、そして安らぎを感じさせる雰囲気をお持ちですな。恐らくは彼(リイナ達)の国の神ではなかろうかと。」
アスラム国王はこの不可解な体の反応について驚愕を抱く。常日頃より神事に携わっている教皇をもってしても、【神】ではなかろうか?という言葉が出てくるのだ。理屈ではない何かを背負っているのだろうと、考えることを放棄して国王らも体が感じるままにひれ伏すのであった。
ややあって、隊員らの手により生存者らはチヌークに乗せられ、同乗していたのであろう医師の風体をした男から診察を受け遺体を載せた棺は丁重にヘリに格納された。やがて二名の隊員を要人二人への最低限の護衛として残し、帰投するためヘリのエンジンを再び響かせ始めるとまだ上空で渦巻く空間の歪みに重なり溶けるように姿は見えなくなる。
此の瞬間を以て、LCRAに依頼された事件は最速最短の解決を見るのだった。
「見てますか二人とも。これが…私の故郷であり、神世での科学という魔法…瑠璃、翡翠。これがあなた方がいた世界の未来ですよ。そしてこれから戻る世界でもあるのです。長い間本当に御免なさい…既に貴女方に分け与えた力は、生き伸びる世界線を辿っています。最早この世界での役目に縛られることはありません。」
ニワタリ神は涙目で二人を抱き締め、諭すように謝罪を含む言葉を伝える。それを聞いた姉妹の目は驚愕に満ち溢れたように見開かれていた。
元々役目を終えたなら死すら覚悟していた二人である。驚くのも無理からぬ事。
この国に迷いこんできた二人を助けるため力を授け、いつしかそれは人々に信託を届けるという役目に変わり、果ては存在が消えかけた己の神としての代理を務めるという波瀾万丈な生を送らせてしまった罪悪感は瑠璃と翡翠の感謝の涙という形で溶け果てる。
「「…やっぱり…嫌です。さっきまでは戻るのも仕方ないと思ってました。例え今後も生きられるのであっても、私達のふるさとは…ここです。ここじゃなきゃ嫌なんです!私達は……わ、私達……は」」
「……ありがとう、二人とも。ありがとう…ございます。」
デルゼルス創世神であるニワタリ神と彼女の加護を得て信託神となり得た瑠璃(ラピス)と翡翠(ジェイド)。
ニワタリ神の神力が戻り再び神事に携われるようになった事と、日本との往来が可能になった現在の科学とを併せて二人が日本に帰れると把握できた今、選択肢として日本に戻る事を暗に提案したニワタリ神であったが、今現在の日本の状況とは違うとは言え嘗ての戦時中であった頃は二人にとって奪われるばかりで何も得られなかったし、与えてくれなかった世界であった。
そんな記憶を持ち得る二人が帰るのを否定するのは仕方ないのだが、恨み辛みの言葉が投げかけられるのを覚悟していたニワタリ神は二人からの思わぬ感謝の言葉にありがとうと、ただありがとうと泣きながら答える事しかできなかった。
やがて三人の涙が治まった頃、
「初めまして。でしょうか?ニワタリ様。上より大筋の事情は伺っております。私達の大切な仲間、そして大切な国民である方々が本当にお世話になりました。至らなかったとは言え大変残念な方も居りますが、それでも命ある方もいたのはまさに奇跡で有り難いことです。感謝の言葉もありません。後は、政(まつりごと)に携わる方々がお決めになる事ですからまだわかりませんが、(これから)もお互いに手を取り合って行きましょう。」
三人のやり取りに静かに近づき軽く会釈してからそう仰られた男性は、
【これから】
という含みのある単語で、ニワタリ様と双子姉妹の悲しみの原因に楔を打つのだった。
つまり、
今後も、明らかにそして明確にこの世界と日本の間で何がしかの形で交流が有り得る
と言うことに他ならない。
今は言葉のみの可能性なれど、姉妹にしてみれば寝耳に水の発言となった。永遠の別れとはなり得ないということであり、来たいと望めば手続きは煩雑であれど不可能ではないのだから。
その言葉の真意に気がついた三人の柱は、再度感動に咽び哭くのだった。
「まず今思えば、政府専用要人輸送ヘリが帯同していた時点で疑問に思うべきだったよ……」
「そういえば…あの時の彼の御仁は一体…この国、日本とは概念としてのみならず人に紛れてまで神々が居られるとでもいうのか?」
「へっ?あー、あのあとはトップ会談が始まっちゃったから状況わかんないもんね。あ、あははっ…んじゃまあ、この国の歴史を僕が簡単にかいつまんで教えてしんぜよう!では日本とは…」
やはり隣の男には反応を期待せずそう溢すのだが、今度は何故かその一言に食い付きを示したので驚いて見せたが己の中の知識より解りうることを丁寧にシャンクに説明していくのであった。
「まあ、大体こんな感じかな?」
「恐るべき国よ。日本…」
「ホントそうだよね。今の若い人たちがどれくらいその事実を知ってるかわからないけどさ、日本って国に生まれて僕は幸せだと思えるよ。そうでない人がいるなら、少なくともできる範囲でそう思ってくれるように頑張るだけさ。」
実際、任務という形で救われた人は確実に絶望の淵を見てきたはずで、二度と日常に戻れないと諦観に浸っていたのがほとんどであろう。それをリイナが覆してきたのだから日本人で良かったと思わざるを得まい。
舞は言うまでもなく、日本人ではないシャンクも…
「さ、報告書も上がったし提出して帰ろうか?おなかすいちゃったよ。」
「…ありがとう…な」
「え?何か言った?」
職員の往来の雑踏でシャンクが溢したリイナへの感謝の言葉はかき消され彼女に届くことなく、代わりに聞き返す言葉に笑顔で答えるのだった。
ガチャと自宅の扉を開けると
「お疲れさまです、リイナさん。」
「「リイナさんお帰りなさい~。」」
出迎えてくれたのは、いつもの麗さんだけではなく二人の少女が増えていた。
そう。リイナがその手で笑顔を与えたデルゼルスの【神託神ラピスジェイド】であった瑠璃と翡翠姉妹である。
帰ってからすぐにかつて住んでいた県に戸籍を照会してもらい社会保険庁に対し年金記録から未だ生存する親族がいないか問い合わせると、すぐに五つ上の兄が未だ独身であるものの農業に従事しており闊達であると確認されたのだ。
ただ70年ぶりに二人と顔を合わせた兄は、本来ならあり得ぬ再会に1週間の入院をする羽目となったのだが。
さすがに、そこでは養うほどの余裕はないということでそれならばとリイナが一緒に住むことを提案したらあれよあれよと許可されたため、今はここに住んでいるのだった。
役目より開放されても死に至ることはないという事実に喜ぶも、帰ったら二度と戻れないのではないかという疑念に向こうの世界から離れるのを一旦は拒否した二人であったが、一緒に来訪していた防衛大臣の
「この世界は、やがて来る複数の異世界と日本との相互発展時代の礎となる。そう遠くない未来、誰もが海外旅行のように気軽に往来できるようになるだろう。」
この一言とニワタリ神の
「その時にまたいらっしゃい。ここはあなた方の第二の故郷なのですから。里帰りする日を楽しみにしてますよ?フフッ」
の言葉の後押しで戻ることを決めたらしい。
ずいぶんと葛藤もあったであろうが、戻ったことによってデルゼルスとの繋がりは失われることなく寧ろ相互発展することにより官民の往来が容易となり、来るべき苦難にも科学技術、魔導科学、魔法学、複数の分野で新たな発見と真実が掘り起こされていくことは間違いなく、そういった意味で言えば二人が戻ってきたのは日本にとっても莫大な恩恵になるのである。
その橋渡し的な役割を全うした姉妹に、国が最大限の敬意を評した結果与えられたのが
LCRA国民捜査官付異世界事務補佐官
という新設された立場であった。
その内容は、帰還しても未だ失われていない神託の力、簡単に言えばESPに分類される予知能力に近いと思われるその力で、トラブルが多かろう数多の異世界とのコンタクトを円滑にするために国民捜査官たるリイナを補佐していくというものである。
つまり舞とシャンクと同じく、リイナの仲間となったことを意味する。
もう一人で悩むことなく救出任務をこなしていけるのだと思うと泣きそうなくらいであるが、未だ救われぬ人々が星の数ほどいるのだという事実に
(勝って兜の緒を締めよ)
の言葉を心に刻むリイナであった。
そして玄関に飾ってある日本刀
【風凪】
に目をやる。
そう、勇者であるガリアが使用していた剣。なぜここにあるのかというと、オロチ戦でリイナが使っていた宮内庁より貸与されているレプリカの「アメノムラクモ」これが原因であった。というのも、これも話はデルゼルス神話~日本神話にまで遡る。
嘗て外星系からの侵略に頭を悩ませていたニワタリ神は、最終決戦において最後肉弾戦にまでなった時のために二振りの刀を創造されたのだという。その一つがガリアの
「風凪」
そしてもう一つが、イツマタノオロチを日本に吹き飛ばした際に投擲したことによって世界の壁に穴を穿った
「草薙」
つまりリイナの使用していた剣の本当の名である「草薙の剣」それであった。
ハリヤの目を通して見ていたニワタリ神は、その剣のフォルムに草薙であるという確信を抱いていたというのだ。
もうすでに人類の総力戦を誘発するゴマタノオロチの存在はなく、元々人類間の戦争もない平和な世界であったが故、
「もうオロチがいないのだから人の身で過ぎたる武器は脅威になり得る。」
とのガリアの一言で、国王に国宝たる風凪を返還したのだという。
今後、刀の製造技術も貿易の内容に含まれる可能性があることから神刀たるそれを国王は教皇との会談で造物主のニワタリ神に捧げるのを決定したらしい。
さて、そこで困ったのは何を隠そうニワタリ神本人である。もう向ける相手の存在しない武器を戻されてもと最初こそ困惑していたが、未だ戦う理由が存在する日本という国に気が付くと気前よく風凪をリイナに託したのだ。扱いに困ったリイナは帰還後、宮内庁に相談に行くと、
「ちょうどよい。神社庁より、(いつまでも熱田神宮のご神体を空にしておくのは如何か?)と言われていたところである。そう言われたところでまあ、貴殿に丸腰で任務に当たれというわけにもいかぬでな。」
というわけで「アメノムラクモ」である「草薙の剣」は返還と相成り後日、風凪が宮内庁よりそのまま下賜されたのが真相である。
これからも任務で協力していく仲間が増えたことに笑顔が絶えないリイナ。そこにはもうかつての暗い影を背負った彼女はいない。彼女は人々を救っているつもりであったが、気が付いているのかいないのかついにリイナ自身が救われた結果と相成るのであった。
それを感じたのであろう、メイドの牧見麗も少なからず嬉しそうな笑顔で見守っている。
「でも実際は二人の方が年上になるのに僕がちゃんってつけるのはちょっと憚られるというか…なんか…ね?」
瑠璃と翡翠の呼称に少しばかりの気恥ずかしさを覚えるリイナに
「「いいよー。ちゃんで~。本当にあれからもう70年経ってるんだね。びっくりだよ!すごいね~」」
と、慣れたのか少々砕け気味でいつものようにハモって答える二人。
まだまだジェネレーションギャップ著しいであろうが、あらゆる身体検査の結果止まっていた成長も再び始まったようなのですぐに慣れていく事であろう。
後に外務省より異世界事務次官という役職を、そして気象庁からは異常気象対策予報士を任命されるのだが、二人は未だ知る由はない。
願わくばこの先、悲しみに暮れる人々が一人でも多く救えますように…
帰れる場所があるなら帰りたい件 なにかのなかのひと @nanikanonakanohito
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