最初から最後まで、雰囲気と登場人物に惹き込まれて一気読みしてしまいました。壮大な物語の第一部、という感じですね。しかし、優しい白淳や手厳しい千瞑、健気な八重があんな結末を迎えることになるとは……個人的には、白淳が残念でした。ああいうキャラは好きなのに……。三人のその後だけでなく、過去も気になります。彼らの輪廻の一欠片、読んでみたいです。
情景と色がはっきりと目の前に浮かんでくるような、柔らかく美しい文章で描かれる物語。中心となる三人はかみ合わない部分もたくさんあるけれど、それでも各々は相手を思いやっている――そんなところがとても素敵です。重いテーマの中で重すぎない読了感、程よい寂寥感と余韻が残ります。冒頭の部分、初めに読むのと終わりに読むのでは、重さが全然違います。いつか、千暝の願いが叶う日が来ますように。そう祈らずにはいられません。
時代の中心人物に依らない少女を主人公におくことで歴史に明るくないわたしでも楽しく読めました。 個性豊かな異形のモノたちの描写も秀逸。