第2話それぞれの今後

4月某日

朝槻大学入学式

「新入生代表、文学部代表 犬岡 棗。理学部代表 猫山 椿。」

「"犬"と"猫"だって」

「おもしろーい」

「相反する2人ってか」


たちまち二人の噂は行内に広まった

入学式が終わり校庭にて

「なぜ朝槻にしたのかしら?」

「なんとなく。家から近かったし、文学部もあったから。あと、図書館が広いからかな。猫山さんは?」

「理系に進みたかったから・・・」

「似てるね」

「一緒にしないで。(なんとなく選んだとは言えない・・・)」


学校も落ち着きだした6月

理学部研究室 3F

「つーばき!お昼いこ!」

「待って、このデータだけまとめたいの」

「分かった、じゃあ下で待ってるね」

椿と同じ研究室の白梅 春子が階段を下りて行った

椿は研究データをまとめると駆け足で階段をおりていく

階段をまがったところで足を踏み外し転びそうになった

『こ、転ぶ!』

すると、右手を勢いよくひっぱられた

「どうしたの?そんなにあわてて」

椿の目の前には棗が左手で手を引いていた

「なにもないわ。ちょっと待ち合わせていたのよ」

「転んだりしたら危ないから走らないように」

「余計なお世話よ」

「またまたー」

「つーばーきー!購買しまっちゃうよー!」

下から春子が椿を呼ぶ。

「分かった!今いく!」

「楽しい?大学生活。」

「ええ、見ての通りとても充実しているわ。じゃあ私はこれで」

棗と別れて春子の元へ向かう椿

「お待たせ」

「上でなんか音がしたけど何かあったの?」

「ううん、階段踏み外しそうになって棗が助けてくれただけ」

「えー!犬岡君王子様みたい!」

「あんなのが王子だったら世も末ね」

「またそんなこと言って~本当のところはどうなの?」

「どうって何が?」

「何がって棗君のことよ!家近くて、幼なじみで大学まで同じって運命としか思えないもん!」

「ただの友達よ」

「椿ってばーもう!」


講義も終わり家に帰る椿

昼間春子に言われたことを思い返す

『どうってどういうことかしら・・・棗はただの友達。家が近いのも大学まで一緒なのもたまたまなのに・・・』

「椿ー!ご飯よー!」

「今いく!」


犬岡家食卓

「よー棗ー元気にしてたか?」

京都の犬神神社に修行に出ていた棗の兄”犬岡 柊"が帰宅してきた

「変わんないよ。」

「椿ちゃんは?同じ大学なんだろ?」

「うん、まあ。でも学科違うし。」

「で?椿ちゃんとは近づけたのか?」

「近づけた?なんのこと?」

「とぼけても無駄だっての。仮にもお前の兄だからな。」

「・・・はぁ・・・」

「ため息つくってことは当たりか?そうなのか?」

「兄貴にはたまに驚かされるよ。うん、まあでもそうかも。向こうはまったく意識してなさそうだけど。」

「そりゃあお前のアプローチがないからだろ!椿ちゃんも女の子なんだから男らしいところ見せれば意識するだろ。」

「そう簡単にいくもんじゃないんだよ」

「何か問題でもあるのか?」

「知らないよ、それじゃあ俺もう上行くから」

棗は食器を下げて2階の自分の部屋に戻った

『男らしくかぁ・・・どうしたものか・・・」

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犬岡くんと猫山さん @kumanekogirl

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