第15話 函館・一本木関門への道編
冷や汗を流しつつ腹ごしらえを終えた私は、函館の最終目的地・一本木関門へと向かった。やはり新選組オタクとしては土方歳三終焉の地は絶対に立ち寄り、お参りしておくべきだろう。それだけに意気揚々と一本木関門が残っているという市民センターへと向かったのだが、最後の最後でかなり本格的な迷子になった。
方向音痴でただでさえ道に迷いやすいという事もあるのだが、『小さくてかさばらないから』という理由で持ってきたガイドブックの地図が間違っていたのである。その地図通りに進んでいくと市民センターとは全く違う場所に到着してしまい、一旦函館駅へ戻らざるを得ない状況に陥ってしまった。
初めての土地で地図も無く、しかも本人が方向音痴という三重苦を背負いながら函館における最大ミッションは行われる事となった。頼りになるのはたぶん間違っていないと思われる市民センターの住所と所々にある道案内、そして幕末オタクの執念のみだ。
だがオタクの執念は背負い込んだ三重苦のハンデも跳ね除けた。予定の2、3倍ほどの時間はかかってしまったものの、住所と僅かな道案内だけで念願の市民センターへ自力で辿り着いたのである。これは限りなく奇跡に近い。
無事市民センターに辿り着いた私は門をくぐり、早速一本木関門跡へと向かう。すると遠目からもはっきりと判る、鳥居のような門が見つかった。その下には既に先客がいる。
鳥居のような門の下には小さな石碑があり、それを取り囲むように多数の花が飾られていた。さすが人気があるだけにお参りしにやってくる人間は跡を絶たないのだろう。私が石碑に見入っている間にも参拝の客がタクシーで乗り付けてきた。どうやら市民センターの閉館時間に間に合うよう急いでやってきた参拝客のようだ。
(ホント、お線香とはいかずとも、花でも買ってくればよかったなぁ)
石碑の前に飾られている花を見ながらそう思ったが、残念ながら近場に花屋は無い。花を手向けるのは次回への持ち越しと割り切り、私は石碑に手を合わせた。オタク丸出してあちこちで騒ぎまくったが、流石に終焉の地では厳かな気持ちになる。
暫く手を合わせた後、私は後ろ髪を引かれる思いで一本木関門跡を後にした。新選組オタク函館旅の最後はやはりここで締めるべきだろう。当時の戦場の雰囲気はまるで無い函館だが、一本木関門跡ではほんの少しだけ当時の雰囲気を味わえた気がした。
オタク満載の私の函館一人旅はここで終わる。この後旦那と合流し飛行機で帰ることになるのだが、函館山からは昼間しか見ることが出来なかった函館の美しい夜景を、飛行機の窓から見ることが出来たことを付け加えておく。
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