第11話 函館市場の海鮮丼編
函館旅行最終日、私達夫婦はホテルの朝ご飯をキャンセルし、函館の朝市へと足を伸ばした。折角函館に来たのだ、朝市で有名な函館市場で捕れたての魚介類を食べたいではないか。特に魚介類大好きな旦那にとって、この朝市訪問が函館に来た一番の理由と言っても過言ではない。というか初日の小樽以外、北海道に来た意味があるのはこの朝市訪問くらいじゃないだろうか?
路面電車を使って函館市場に到着したのは朝7時過ぎだった。朝市の時間にしては少々遅かったかと反省したが、それでも多くのお店が開いていたし客もかなりいる。
「やっぱり朝市は賑やかだねぇ」
冷やかし半分、食事処探し半分、私達は函館市場を巡り歩く。何せ函館市場には外から見るよりも多くの店が入っている。市場というだけに一番多いのは魚介類そのものを販売しているお店だが、食事処も少なくない。どのお店も美味しそうで目移りしまくったが、最終的に私達は比較的小ぶりな丼のお店に入った。新鮮な魚介類はいっぱい食べたいのだが、如何せんお米までいっぱい食べれるほどのキャパシティは中年の胃袋には無い。なのでご飯少なめ、魚介多めの小ぶり丼の店を選んだというわけである。
幸いにもそんなお店を見つけた私達は早速それぞれの好みのものを注文する。旦那は色々な具材が乗っかったごく普通の海鮮丼、私は函館名物の烏賊メインにいくらが乗っかった紅白丼だ。函館といえば烏賊が名産である。折角函館に来たのだから採れたて新鮮な烏賊を食べなければ意味が無い。
「お待たせしました!」
暫く待っていたら威勢のよいお姐さんの声と共にそれぞれの丼が差し出された。それを待っていましたとばかりに私達は早速丼を食べ始める。どの食材も美味しいのだが、特に烏賊は格別だ。細切りにしてあるのに歯を跳ね返してくる弾力が堪らない。
やはり取れたて新鮮な烏賊は格別だ。朝7時過ぎという、胃の中にものを大量に入れるには少々早めの時間帯だったが私は小ぶりな丼飯をぺろりと平らげた。それ程までに新鮮な烏賊は美味しかったのだ。足の早い魚介類はやはり港近くで食するのが一番である。
因みに地元の人は朝7時以降の烏賊は食べないと、某国営BS放送のドキュメンタリー番組で取り上げられたのを見たのはこの一ヶ月後のことだった。これを知った特ものすごく悔しくて、次回は絶対にもっと早い時間に市場に繰りだそうと誓ったほどである。
しかしこの時点での私は地元の方々がどんな烏賊を食しているかなんて知る由もなく、ただただ取れたて新鮮な烏賊をたっぷり堪能した。そして朝から胃袋を満タンにした私はここで旦那と別れ、旧幕府軍聖地巡礼へと動き始めた。
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