ヤンデレ、愛に出会う
野口マッハ剛(ごう)
蘇る愛は
少女は砂漠をさ迷い、どこか見覚えのある街へ入っていく。人が見当たらない。隠し持ったナイフを力なく握り締める。少女はその短い黒髪をいじりながら練り歩く。どこにも人は居なかった。
記憶を辿れば、少女は確か人を殺めた。今でも人を傷つけたくてうずうずとしている。どこだ? どこにいる? 人はどこに消え去ったのか。少女は暫く歩いて疲れ、へなへなと座り込んだ。血が恋しい。鮮血がまた見たかった。
まただ。幻覚が見える。ナイフが飛んでくる。一直線に。少女を狙うかのように。次第にナイフは多くなった。視界がナイフで一杯になる。少女は可笑しく思えて笑う。実在しないナイフでは少女に傷ひとつさえつけられない。一本のナイフは本物だった。
少女はこれで安心した。もう誰も傷つけれない。体温が体から流れ出る。その体温は赤い。少女は愛について考えた。血の通う行動について。その体温は少女の体から流れ落ちてゆく。もう助からない。少女は愛はあの日に置いてきたままだ。
もう少女は目覚めない。長い終わりが少女を包む。
ヤンデレ、愛に出会う 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo
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