第7話 慈悲深き神の御名において

 その日から、ぼくはアフマドさんの息子として迎えられた。スィフルの町、ブルーと白の色彩を交互に並べた円屋根の礼拝堂マスジドの近く、マジュヌーン通りにある石造りのちいさな民家、そこがアフマドさんの住まいだった。

家に入ると、大きな笑顔に大きな躰の夫人、ハディージャさんが、あたたかい紅茶シャーイで迎えてくれた。

「遠慮せずにあたしたちのことを父さん、母さんって呼んでおくれ。そういってくれるのが、いちばんうれしいのだから」

 その言葉は、ぼくにとってもうれしかったけど、そのときのぼくには照れくさくて、あまりにずうずうしいような気がして、とてもそうは呼ぶ気にはなれなかった。けっきょくぼくは、かれらをアフマドさん、ハディージャさんと呼ぶことにした。いつか機をみて、父さん、母さんと呼ぼうと心に決めながら。

 暮らし向きはよくなかった。アフマドさんが懸命に働いているのはあきらかで、野菜や果物の売れゆきもけっして悪くはなかったのに。

 生活が楽でない理由はすぐにわかった。アフマドさんは、商売人としては致命的に人がよすぎるのだ。

 雑踏でひとりの物乞いに出会ったことがあった。身なりがみすぼらしいだけでなく、どうやら皮膚病に罹っているようで、貌じゅうをこぶやできもので覆われていた。

「オレンジをひとつ、めぐんでくれませんか、だんな」

 物乞いは、息も絶えだえに、そういった。アフマドさんは、なにも答えなかった。ただ、オレンジをふたつと、その日の売り上げである金を、残らず物乞いに手渡したのだった。

[ありがとう、ありがとう」アフマドさんの靴をなめんばかりに、物乞いは涙を流して頭を下げた。「この恩は、けっしてわすれない。あなたに、なにか不運が訪れたときには、かならず恩返しにまいりますからね」

「見返りを求めて、施しを与えたわけではないよ」

 アフマドさんはにこやかに答えた。

 物乞いは、なおも感激して続ける。

「いいえ。あなたは偉大なおかたです。きっとあなたは、きょうの日のことをおわすれになるでしょう。物乞いになにか施しを与えたなどと、三日経てば、憶えてすらおられないでしょう。ですが、わたしは一生涯、わすれません。恩人の貌を、このオレンジの、色と香りをわすれません。いちにち働いて得たお金を惜しげもなく与えてくださった、あなたの慈悲深さを、わたしのような醜い物乞いに対しても敬意を払った態度で接してくださった、あなたの偉大さをわすれません」

 物乞いは何度も何度も頭を下げながら、去っていった。その姿がみえなくなるまで、アフマドさんはほほえみながら、見送りつづけた。

「アフマドさん。いくらなんでも、きょうの売り上げをぜんぶあげてしまうなんて……」

 ぼくはおずおずと、そういった。

「いいのだよ、ザイド。かれの姿をみたかね? この世でもっとも恐ろしい病はね、皮膚病なのだよ。家族にさえも疎まれ、忌み嫌われる病は、皮膚病だけだ。かれの孤独は、察するにあまりある。だからこそ、施しを与えなければならん。もしさっき、わたしが施しを断っていれば、かれはきっと絶望のあまり、物乞いから、盗人になってしまっただろう。だって、そうするほか、生きていく術がないと思ってしまったら、しかたないじゃないか。だけど、かれはもうだいじょうぶだ。道を踏みはずしそうになったとき、きょうのことを思い出してくれれば、きっと、踏みとどまってくれるはずだよ。これが神さまの望む人の道だ」

 ぼくは、なにもいえなかった。アフマドさんは、ほんとうにすばらしい人で、どんなに貧しくても、それはかれの偉大さゆえなのだ。むしろ、誇るべきことなのだ。そう思った。着るものに困ることさえあったけど、苦じゃあなかった。アフマドさんは家族を大事にする尊敬すべき男だったし、ハディージャさんはじぶんの食事さえぼくに与えようとするやさしい女性だった。ぼくは、とても、幸福だった。

きっと他人からは、本物の家族のようにみえたに違いない。ぼくにとっては、初めて過ごす、暖かい冬だった。ぼくはようやくじぶんの居場所を手に入れたのだ。ほんとうにずっとここにいていいのだと、そう思った。

 アフマドさんとハディージャさんは、信仰にとても熱心だった。町の礼拝堂マスジドの光塔から定刻を告げるアザーンがもの悲しく洩れきこえるたび、夫妻は仕事も放り出して、両手を重ね、礼拝の章句を唱えるのが常だった。ぼくは神さまなんて信じていなかったけど、夫妻をよろこばせたくて、その日も夫妻といっしょになって、覚えたての章句を唱えた。

「呪うべき悪魔に対して神の御加護を祈りたてまつる」

「慈悲深き神の御名において」

「神の忠実なしもべの上に平安あれ」


        †


 だけど、ぼくたちの祈りは届かなかった。

 その夜――金曜日の夜だった。窓を強く揺らす轟音に目が醒めた。

 町にはサイレンがかまびすしく鳴り響き、窓の外はまるで昼のように明るかった。

 眼のまえの民家が、一瞬にして見るも無惨な瓦礫の山と化した。

 雲のような爆撃機が月の光をさえぎって、真冬のスィフルに燃え上がる火の雪を降らせていた。

 危険を察したアフマドさんは、大声でぼくの名を呼んだ。黒いチャドルをまとったハディージャさんが、ぼくの手を引き、家の外に逃がれようとした。

 閃光とともに窓ガラスが割れ、破片がきらきらと星のように飛び散った。

 目がくらんだ瞬間、家が大きく揺れ、鼓膜を叩きつけるような轟音が鳴った。

 目を開けると、辺りは土煙に包まれていた。石壁が崩れ落ち、アフマドさんの影が床に仆れていた。アフマドさんの眼球は爆風で飛び出し、下唇がちぎれ飛んで、石壁に叩きつけられていた。眼球はころころと何処かへ向かって転がり出し、下唇はなめくじのように壁を這い、血の跡を残しながら去っていった。

 奇跡的に、ぼくは無傷だった。両手が動く。目も見えた。奇跡的に?――いや、違う。ハディージャさんが、ぼくを抱きしめていた。ハディージャさんが身を挺し、崩れ落ちる瓦礫から、ぼくをかばってくれていたのだ。

 ハディージャさんは瓦礫の雨をまともに受け、全身血まみれになっていた。苦しげにうめく彼女を、ぼくは助け起こそうとした。瞬間、カーテンとカーペットに火がつき、部屋は焔に包まれた。

 だれか大人を呼ばなければ。それが医者だったらなおいい。いまならまだ、夫妻を助けてもらえるかもしれない。

 家の外に飛び出した刹那、吹きつける爆風が頬を切った。

 ぼくは息を呑んだ――町は一面、血の海だった。五体がばらばらに吹っ飛んだ男の首が、うらめしそうにぼくを見上げていた。路上に捨て置かれた車が、ふいに爆発して火柱を立てた。焔はブルーと白を交互に並べた円屋根の礼拝堂マスジドを赤々と照らした。悪鬼ディーヴの群れのような無数の影絵が、礼拝堂マスジドの壁に踊っていた。

 頬の痛みを堪え、溢れ出す血を拭い、声の限り、ぼくは叫んだ。爆音が嘲笑うように、ぼくの声をかき消した。人びとは路に仆れる屍体を踏みしめながら、逃げまどっている。

 ぼくはそのなかに、憶えのある姿をみつけた。貌じゅうをこぶやできもので覆われた、いつかの物乞いだった。

 かれの脚にすがりつき、ぼくは必死に泣き叫んだ。

「アフマドさんが。ハディージャさんが。死んでしまう。たすけてくれ。たすけてくれ!」

 物乞いはなんのためらいも見せず、ぼくを力いっぱいふり飛ばした。はれもののなかに覗くそのちいさな眼は、信じがたいほどに、ひややかだった。

「いつかいったじゃないか。恩をかならず返すって。いま返さないで、いつ返すっていうんだ! わすれちまったってのかよ! 恥を知れ!」

 悲鳴にみちた往来のなか、ぼくは泣くように叫んだ。

「憶えているさ。憶えている」物乞いは茫然としながらいった。「あのときかれはこういったな。見返りを求めて施すわけじゃない、と。たしかに、そういった。憶えているとも! 悪いが、じぶんの命がだいじなんだ。坊主も死にたくなけりゃ、早く逃げたほうがいい」

 無情な跫音とともに、物乞いは影さえ残さず走り去った。眼のまえが真っ暗になって、地面が崩れていくようだった。

 だれにも頼れない、じぶんの手で夫妻を助けるしかない。

 ぼくは涙を拭いて立ち上がり、家に向かって駆け出した。そして夫妻の名を呼んだ。

「アフマドさん。ハディージャさん」

 その呼びかけに、応えはなかった。

 不吉な気配を感じ、ぼくは両目を見開いた。

 世界の始まりか、あるいは世界の終わりのような猛火に包まれた部屋のなか、見知らぬ大男が立っていた。火の光を浴びて赤く染まった髪をふりみだし、腰のベルトには美しい装飾を施した短剣を挿している。無骨で大きな指環まみれのその手には血に濡れた斧が握られ、その下には――アフマドさんの右腕が切り落とされていた。

 あろうことか、大男は、アフマドさんの火傷のすくない躰の部位を、斧で切り落として持ち去ろうとしているのだった。

「左腕は傷ものだ、売り物にならんな」大男は低い声でそうひとりごちた。「あとは、右脚をいただくぞ」

 瞬間、胸に黒いものが渦巻いた。

 ぼくはすぐに悟った。こいつは、噂にきく屍体売りだ。戦争で死んだ人間の躰を切りきざみ、かすめ盗り、それを不具者たちに高値で売りつける、卑劣な商人。

死神。人の死を嗅ぎつけてやってきやがる。鴉。禿鷹。食屍鬼グール

 燃え上がる嫌悪を感じると同時に、ぼくは絶望に突き落とされた。

 屍体売りが来たということは、夫妻はほんとうに死んでいるということだ。助からないということだ。もう三人で暮らせない、ということだ。

 大男はぼくに気づき、訝しげに見下ろした。ぼくの背は、男の腰までしかない。大男の腰のベルトにぶら下がる、短剣の柄に絡みつく蛇の装飾が、ぼくを蔑むように睨みつけていた。

「もしかして」と、大男は酒臭い息を吐きながらいった。「おまえ――この家の子供か」

 その忌まわしい声を合図に、ぼくは叫びながら大男に飛びかかっていた。かなう筈がなかった。そんなことは、わかっていた。だけどそれ以外、胸のなかで暴れる、血が沸騰するような怒りを抑えるすべを、ぼくは知らなかった。それに、たとえ殺されたとして、いったいなにほどのことがあるだろうか。ぼくが死んで悲しんでくれるこの世でたったふたりの人間は、その憎むべき大男の足もとに、すでに息絶えて横たわっているのだ。

 大男の力は強かった。躰の小さなぼくは、簡単に払い飛ばされた。悔しくて、悔しくて、何度も飛びかかった。そのたびにぼくは、焼けつく床に叩きつけられた。

「怒るな、坊主。これはもうおまえの家族じゃない。屍体だ。死んでしまったら人間じゃねえんだ。そして、死んでしまったら――屍体はだれのものでもねえ」

「うるせえ、うるせえ」

 ぼくは大男の手に噛みついた。

「痛えんだよ」

 大男はぼくを力いっぱい蹴り飛ばした。ぼくは石壁まで吹っ飛んで、つぎの瞬間、血を吐いた。全身の骨が、軋んでばらばらになるような痛みだった。

ちくしょう。ちくしょう――ぼくは痛みを、怯えを悟られないよう、大男を睨みつけた。だけど、そんな虚勢に、いったいどれだけの効果があっただろう。ぼくはじぶんの力のなさが悔しかった。じぶんが、大人でないことが、悔しかった。

 泣くな。泣くな。こみ上げる涙を、必死で押し殺しながら、ぼくはじぶんにいいきかせた。泣いたら、負けを認めたことになる。どんなに殴られてもいい、指を切り落とされたっていい、でも泣くんじゃない。泣きさえしなけりゃ、全身ばらばらにされたって、負けたことにはならねえ。殺されようがなにされようが、泣きさえしなけりゃ、負けたことにはならねえ。

 それでも、ぼくは涙で目が霞んでいくのを止められなかった。こぶしを握り、最後の力をふり絞って、ぼくは大男に殴りかかった。大男はそれをやすやすといなして、大きな足でぼくの背中を踏みつけた。

 ぼくを地面に這いつくばらせながら、大男はその分厚い唇を開く。

「坊主、いくつだ」

 踏まれた背中の息苦しさに耐えながら、ぼくは答えた。

「十一」

「にしちゃ小せえな。飯もまともに喰わせもらってなかったのか? かわいそうになあ」

 我慢していた悔し涙が、ついに溢れ出た。親がわりのアフマドさんを、侮辱された気がしたからだ。

「そら」大男は持っていた袋から、食べ残しのシャオルマを地面に投げてよこした。よく焼けた肉とパンの匂いが鼻をかすめる。

「喰え。おれが憎けりゃよ、喰うもの喰って、おれより大きくなってから殺しに来い。まだ若いのに、やけになってどうする。家族はみんな死んじまったようだが、自殺しようなんて考えるんじゃねえぞ。生きるんだ。もともと男は、だれかに頼って生きるもんじゃねえ。哀れっぽくだれかに助けを求めて生きるもんじゃねえ。子供だろうが大人だろうが、頼れるのはいつだって、おのが身ひとつだけだ」

 くそ! くそ! くそったれめ!

 涙がぽたぽたと床に落ちた。涙でできた水溜りに、大男の赤ら貌が映りこんでいた。

「なんで家族を失ったか、わかるか、坊主」

「おまえが殺したんだ、おまえが!」

 ぼくは泣きながら大男を責めた。大男がじっさいに殺したわけじゃない、そうはわかっていても、こみ上げる怒りをぶつけなければ、気が済まなかったのだ。大男は酒臭い溜息を深くついた。

「神さまはな、金持ちから順番に救いの手をさしのべる。貧乏人が泣こうがわめこうが、犬さえきいちゃいねえ。おまえの家族が死んだのは、貧乏だったからだ。この国の金持ちどもは、みんな安全な街に避難しているぜ。戦争は決まって金持ちが起こすもんだが、戦場で死ぬのはいつだって貧乏人だけだ。おまえにもしも金があれば、家族も救えただろう、医者も呼べたかもしれん。飯もじゅうぶん喰えただろうし、躰もでかくなれただろう。そうすりゃ、おれにけんかで負けることもなかったんだ。すべて、おまえに金を稼ぐ力がなかったのが原因だ」

 ぼくは大きく息を吸いこんだ。そして声の限りに叫んだ。

「金ぐらい、これからいくらだって稼いでやる! おまえなんかより、おまえなんかより……」

 ふん――大男は鼻で嗤った。そしてぼくの背中に乗せていた足を、そのときになってようやくどかせた。

「いい意気だ、ついて来い。金の稼ぎかたを教えてやる。そしておまえが屍体二体ぶんの金を貯めることができたなら、この夫婦の屍体をおまえに売ってやろうじゃないか。もっともそのころにゃ、腐って売り物にはならないだろうがな」

「それでもいい!」ぼくは叫んだ。「約束だぞ! ぼくが! 父さんと母さんの屍体を買えるぐらいに稼げるまで、ふたりの屍体をだれにも売ったりするな! 腐ったって、骨になったっていい、屍体は残らずぼくが買い上げてやる! ふたりの屍体は、ぼくがちゃんと埋葬して弔うんだ。だれにも――屍体売りだろうが、神さまだろうが! この世のだれであろうと、父さんと母さんの眠りを邪魔させたりなどするものか!」

 ふいに、部屋を焼いていた業火が吹き消されたように消えた。

「わかった、わかった」大男は愉快そうに嗤う。「そしてもうおれのことをおまえなんて呼ぶんじゃねえぞ。親方って呼ぶんだ。おまえはきょうから、おれの弟子なんだからな」

 大男は声を上げて嗤い、腰にぶら下げていた短剣をぼくに投げてよこした。金細工で彩られた牛革の鞘に、植物の蔓と蛇が絡みつく装飾が施された金色の柄。蛇の眼にあたる部分には、見たこともない極小の宝石が光っている。

肉切包丁ジャンビーヤだ。これがどういう意味を持つか、おまえもわかっているだろう? 弟子のしるしにくれてやる。兵隊墓場の墓守にそいつを見せれば、おれの弟子だとわかるだろう。墓場に入れてもらえる筈だ」

 柄のなかに囚われた金色の蛇は、ぼくを見張るようにじっと見つめていた。

大男は踵を返し、燃え落ちた扉を潜り、家を出ていく。ぼくは肉切包丁ジャンビーヤを握りしめ、ベルトにそれを挿しこんだ。涙を手の甲で拭いて立ち上がり、おぼつかない足どりで、必死に大男の影を追った。

 ぼくが屍体売りになったのは、その日からのことだった。


        †


 荒野の果てに、街が見える。ぼくは心を躍らせながら、アクセルをさらに踏みこんだ。

 仕切り板の上には、あの日からすこしも色褪せることなく、美しい肉切包丁ジャンビーヤが光っていた。小さい刀身ながら、骨さえ切断できる屍体売りの必需品だ。肉切包丁ジャンビーヤの柄に絡みつく蛇は、相変わらずぼくを監視するような眼をそらせやしない。呪うべき契約の証。足枷をかけられるよりも、屈辱的だ。両親の躰を解体して売りとばそうとした男に、飼われているしるしなのだから。だけど考えようによっては、好都合といえなくもないだろう。弟子のふりさえしていれば、仇を逃がすことは、けっしてないのだから。いつでも好きなときに、敵の寝首をかけるのだから。

 おんぼろトラックを走らせながら、ぼくは考えていた。マジッドの右手をさがしあて、大金を手にしたなら、その金で約束どおり父さんと母さんの屍体を買い上げてやる。そのうえで親方を殺して、もう一度金もとり戻すのだ。眼のまえに転がる親方の屍体に、肉切包丁ジャンビーヤを叩き返して、親方の貯めこんだ九六〇万ディーナールもすべて奪いとってやる。金のためなら手を血で汚せ――ぼくにそう教えてくれたのは、ほかならぬ親方自身なのだから。それに、この国の戦場じゃ、まいにち何百人と人が死んでいる。まいにちだれかがだれかを殺しているのだ。いまさらぼくがひとり余計に殺したところで、いったい、だれがぼくを責められるだろう?

 助手席の親方は、まだ上機嫌で鼻歌を歌っていた。

 ぼくは憎しみと怒りの感情で、息を乱しながらそれを睨みつけていた。

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