第291話 友人の訃報
友人の訃報を知った。
まず驚き、それからじわじわと悲しみが込み上げてきた。
それでも今はまだ軽いほうだ。これから故人の詳細が伝わってくるたびに、悲しみは増してゆくのだろう。
去年の11月ごろから病気で入院しており、周囲に自分の病気のことは絶対に言わないでくれと念押ししていたという。そして三ヶ月もしないうちに逝ってしまった。私は彼女の最期に、何のことばもかけられなかった。
数年前のGWに、彼女や他の友人たちと亀戸天神で藤を見たことを思い出した。
写真のフォルダを開いてみたら、すだれのようにしだれた満開の藤の前で皆と一緒に笑っていた。私も笑っていた。みんな晴れやかないい笑顔だった。
この中の一人がもうこの世には存在しないなんて、信じられない。
芸能関係の仕事をしていて、美しく華やかな人だった。
きっと裏では沢山の苦労があり、血の滲むような努力を続けて築いた地位だった。
強い人で一切の愚痴も弱音もこぼさなかった。闘病ですらも矜持を守った。
明るくて、おしゃれで、旅が好きな人だった。
これから往く旅路が、楽しいものであることを願ってやまない。
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