第232話 良いことも悪いことも全部自分に返ってくるなら、なるべく良いことをして美味しい思いがしたいもの




 最近、世の中は本当に持ちつ持たれつだなあ……と思ったこと。


 とある舞台を観に行こうと思っていたのだが、残念ながらチケットが1枚も取れなかった。

 仕方ないと諦めていたが、とあるツテがあって、チケットを用意できるかもしれないと言われた。ただ用意できるかは、公演日の直前にならないとわからないという。

 それでも取れるならばと、私は2枚お願いした。

 友人のKさんを誘うと彼女は喜び、絶対に行くと言った。Kさんも私同様、チケットは1枚も取れていなかった。


 そして、公演4日前に連絡が来た。チケットは1枚だけ用意できたという。

 席は1階9列。良席である。私は連絡を受けて、ものの30秒くらい迷ったが、そのチケットはKさんに譲ることにした。

 まあ、いいやと思ったのである。

 実際忙しかったし、自分一人で観に行ってもなあ……という気持ちもあった。

 確実に楽しんでもらえる人がいるのなら、その人に行ってもらった方がいい。

 チケットを受け取ると、その日のうちにKさんに郵送してしまった。


 ところが、その翌日のこと。

 今までとは全く関係ないルートから突然連絡があり、同じ舞台の同行者を探している人がいるから観に行かないかと言われた。Kさんにチケットを譲った舞台の前日の公演である。

 昨日の今日だったので、これには本当にびっくりした。

 とりあえず行きますとだけ伝えて、なんとか時間を作って観に行った。

 同行させてもらうNさんとは全く面識がなかったが、きちんと連絡をくれ、実際当日会ってみたらとても良い方だった。

 会場についてから知ったが、なんと席は1階3列だった。

 チケットは譲ってしまったけど、その代わり私もひょいと拾われて、一気に6列も前に出たのである。

 こんなことってあるんだなあ……と思いながら舞台を楽しんだ。

 とても嬉しかったし、幸せな気分になった。


 たぶん、欲をかかずに人に譲ったから、師走ならではの(?)超高速回転で福が回ってきたのだね。

 おそらくこれで2016年の運は使い果たしたけど、別にいいよ。だってもう今年は終わるもの。

 いいことも悪いことも自分に返ってくるなら、なるべくいいことをして徳を積んで、思いっきり倍返しを食らいたいものである。


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