建子月
第177話 身体が欲するなら仕方ないね
寒くなってくると人間も冬眠モードに入るのか、最近眠くて眠くて仕方ない。
この時期は夏の疲れと気温の低下で体調を崩す人も多いから、これも身体からのサインと思って、なるべく寝るようにしている。
しかし、春先の底なし沼に沈んでいくような深い眠りとは違って、とても浅くて緩い。
布団の上でうとうとし続けてやっと寝たかと思ったら、突然覚醒し、再びうとうとし始めるといった具合。
その目覚めも、不思議と甘い香りを伴う。
先日は、夜半に熱くて濃いほうじ茶を淹れ、いただいた栗大福を食べた。
一個丸ごと入った栗の香りが、ぎゅっと噛みしめるたびに口中に広がって、なんとも幸せな気分になった。その甘味を脳が執拗に覚えていて、明け方に甘い夢を見せたのかもしれなかった。
今朝は、アップルパイを焼いたような香りがした。
目を開けると部屋は真っ暗で、時計も午前6時過ぎ。
あの甘い香りはなんだったのだろうと思いながら、そこで私は台所にドーナツとアップルパイがあったことを思い出した。
そして、いそいそと起きだすと湯を沸かし、菓子を温めようとオーブンに入れるのである。
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