第178話 「控えめに言って、パンだった」に対する熱い風評被害




 先日、電車内で交わした私と友人の会話。


「そういえばさぁ……読んだよ。あんたの語彙力が殺されたWEB小説」

「ありがとう」(殺されたんだ……!)

「あれさぁ、最初の方に『控えめに言って、パンだった』っていうのがあるじゃん」

「あるね」

「なんかそこすっごい気になって。控えめに言ってパンなら、普通に言ったら何なの?」

「……。ナンなんじゃない?」

「え、何で?」

「ナンなんだよ、たぶん」

「え? ナンて何?」

「ナンはインドのパン。つまり、パンは普通に言ったらナンなんだよ」(適当)

「え、何で? インド哲学?」

「違う。今思いついただけ」

「意味わかんない。ていうかさ、あんたそれが言いたかっただけでしょ」

「違う」

「ナンて言いたくて、『控えめに言って、パンだった』って書いたんでしょ」

「違うってば」

「声震えてるよ」

「違う。そんなこと想定して書くわけないでしょ」

「ならパンの最上級は何なの? パン、ナン、パンエスト?」

「もうやめて。許して」


 そこでとうとう笑い出してしまい、私の腹筋は死んだ。

 いや、本当のことをいえば「語彙力が殺されたWEB小説」って言われた時点でミステリー臭が半端ないし、間違いなくカテエラだし、僕はダジャレの尊厳をかけて崇高にスルーしようとしたけど、カレーに爆死した。



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