第162話 また一軒書店がつぶれた
一ヶ月ぶりくらいに、駅前の行きつけの本屋に寄ったらなんと閉店していた。
遠目から見ても真っ暗でおかしいなと思ったのだが、休みの可能性も考えて近くに寄ったらものの見事に空っぽで茫然としてしまった。
個人経営の書店ではなく大手チェーン店なので、別に店舗があるのだが、なんだか心にぽっかりと穴が空いたようだった。
私はその書店の数年来の常連で、自分でいうのもなんだがかなり沢山買った方だと思う。
駅前には幾つか本屋があるが、一番品揃えがよかったので重宝していた。接客も丁寧だった。
新刊、DVD、ゲームの予約をしたり、雑誌を取り寄せたりしていたら、いつの間にか店員さんに顔と名前を覚えられ、ついでに購入物から好みも把握されたらしく、オススメの書籍を勧められたりもした。店員さんとの交流は楽しく、密かな楽しみだった。
ポイントも随分たまって、粗品や割引券と引き換えたのも1度や2度ではない。
忙しくてしばらく顔を出していなかったが、まさか閉店するなんて……。
前に行った時はそんなそぶりは全くなかったのに、急に決まったのだろうか。
店に行くたびに客はそこそこいたが、売り上げが芳しくなかったのか?
出版不況で、本屋のみならず出版社や取次ぎ大手が倒産する時代だから、仕方がないといえば仕方ないが残念でならない。
勿論本屋は他にもあるし、今後はそちらへ通うだろうが、あの品揃えを地元で拝むことはもうないだろう。
今後もネット通販はなるべく利用せず、本は本屋で買うか取寄せることにするが……この心の消沈をどうすればいいのか?
……本を読むしかないのか?
そうだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。