第163話 衣更えと冬の足音
9月は雨ばかりだったが、気温は高く暑い日が続いた。
しかし、さすがに10月ともなると、夏の残滓はすっかり失せて涼やかな日々だった。
先週あたりからは急に冷え込んできて、夏服では辛くなってきたので衣更えをした。
夏服を全て洗濯し、アイロンをかけて仕舞い、代わりに冬服を出す。
コートやカーディガン、セーターはクリーニングから戻ってきた時のままなので、ビニール袋を破るところから始まる。
どれも生地からして暖かく、触っているだけでホッとする。
コートは、とりあえずトレンチコートだけ出した。
バーバリーのライトカーキとポール・スミスのベージュの2着は私の宝物。
とても気に入っているし、大事にしているし、できれば一生使ってゆきたい。
ダウンのコートはもう少し先。
ついでとばかりに、布団のシーツやカバーも冬用のものに取り替えた。
窓を開けて久しぶりに出した毛布を干していると、冷たい風にくしゃみが出た。
寒い。秋だ秋だと思っていたのに、もう冬の足音がする。
季節がまるで風のように、さらさらと通り過ぎていく。
その速度は年々速くなるようで、私はかすかにも、一人で取り残されたような心細さを覚える。
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