第102話 許しがたいもの




 許しがたいもの。眉毛の中にできるニキビ。

 アイブローペンシルで眉毛を書いていると突然予期せぬ凹凸おうとつ、すなわちニキビに当たって「あいたっ」となる。鏡に顔を近づけると少し赤くなっていたりする。

 痛いのだが、それでも片方だけ眉毛が薄くても変なので、毛と毛の隙間を塗りつぶしていかねばならず、さらにその上からパウダーや眉マスカラまで重ねる。

 ニキビはどこにできても嫌だけど、何故よりにもよって眉毛の中にできるのか。

 憤懣やるかたなく、その怒りをどこにもぶつけられず、それでも化粧せざるを得ない現状に些かウンザリしつつ、絵を描くように顔を作っていく。


 ストレスなのか不摂生なのか夏の疲れなのか吹き出物の理由はわからないが、皮膚のほのかな抗議を受けているようで、どこかで肌を休ませなくては……と思ったりもする。

 大抵は思うだけで終わる。何においても、私は取り繕うことに忙しい。


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