第73話 歴史好き=戦国、幕末ではない①




 興味がないと思われる人には一切言わないが、何よりも歴史が好きである。

 他の趣味はやめたり、禁止されたとしても(辛いものの)、まあなんとか我慢できる。

 しかし、歴史や歴史に関係する遊び(舞台鑑賞や読書や寺社・史跡めぐりなど)だけはやめることができない。禁止されたら目の前は真っ暗、人生もお先真っ暗である。

 もはや死ぬしかない……というのは大袈裟だけど、漫画やゲームや小説や演劇、ドラマ、映画、旅行に至るまで、どんなものも歴史から派生したフィクション、ノンフィクション作品が好きなことが多いので、それを失ったらさぞかし味気無い生活になるだろうと思う。

 今のところ、歴史オタク生活に水をさすような人も出来事もないので、それなりに楽しくやっている。


 

 と、歴オタライフを満喫しているものの、歴史が好きなことはあまり公言しないようにしている。

 実際すると気を使われることが多くて、こちらが疲れてしまうのである。

 大体の人が「自分も戦国武将とか好きなんですよ」「三国志のゲームやりました」「新撰組かっこいいですよね」などと言ってくれるが、話を合わせてくれていることがわかるし、こちらも何がなんでも歴史の話をしたいわけではないので内心「しまった」と思う。


 あと何故か歴史好き=戦国、幕末好きと思われることが多い。

 確かに戦国や幕末は人気が高いし、大河ドラマも大体どちらかだし、時代的にもとても面白いのだが、歴史好き=戦国大好き、幕末大好きではない。少なくとも私は違う。

 一般人よりは知っているかもしれないけど、戦国も幕末もそれほど詳しくはない。

 その道のマニアが熱く語りだすと、「ははあ~」と神妙な顔して拝聴するのみである。


 前に知人が何かの話の種に、息子さんの名前が「幸村くん」であることを言った時。

 私は何も考えず「ああ、真田幸村が好きなんですか?」と言ったら、こっちが引くくらいにびっくりされ、「今まで息子の名前を言って、由来がわかった人はいなかった……」と言われてしまい、逆にこっちがびっくりしたことがある。

 いや、私も真田マニアではないし、子供の頃に読んだ伝記と池波正太郎の「真田太平記」と真田大好きな友人が語った薀蓄くらいしか知らないけど、戦国武将の真田幸村(信繁)って一般常識ではないのだろうか……? 常識じゃないんだろうなあ……。

 私のような知識の浅い人間でも、一般人とは隔たりがあるようである。

 かといって全然詳しくないのに、戦国トークを期待されるのも地味にしんどい……。

 こういうことが多くあって、類友と思われる人たち以外には、歴史好きなことは黙っていたほうが無難だと思うようになった。



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