第51話 初めてインターネット上で詐欺被害に遭う①
初めてインターネット上の詐欺に遭い、金銭的被害を被った。
被害額は4000円程度でたいしたことはないが、こちらは詐欺師に騙されたわけで非常に腹立たしい。
しかし、腹が立つのと同時に、「こんなことは初めてだ。これはネタになる!」と少し離れたところから冷静に見ている自分もいて、転んでもただでは起きてやらないというか、つくづく人生とは万事ネタである。
今後は気をつけよう……と思いながら書いていく。
ことの発端は、とあるアーティストのファン交流掲示板(非公式)だった。
本人に迷惑をかけないためにある程度ぼかすが、私はそのアーティストが好きで時々掲示板を覗いていた。
二ヶ月ほど前、とあるイベントがあり、記念に当人のサイン入りグッズが販売されることになった。イベントは都内で平日開催だった。
グッズ自体は、おおまかにいうとA賞からF賞くらいまで種類があった。
A賞が一番良いもので、数は1~2個程度。C~F賞はそれなりに数がある。通販は一切なし。A賞~B賞あたりは転売すればかなりの値がつくと思われた。
グッズは先着販売で買える個数に制限があり、整理券は抽選、引いた番号順に並んで購入ができる仕組みだった。つまり徹夜しても朝早くから並んでも希望のグッズが買える保証はない。早い番号を引けるかどうかで、抽選の時間に間に合えば誰にでもチャンスがある。
ファンは当然稀少なA賞を欲しがり、代行依頼を求める書き込みが相次いだ。
特に地方在住の人は困っているようだった。
私はグッズには興味がなく、イベントにも行く気はなかったが、その日は行こうと思えば行ける距離のところにいた。
代行依頼の書き込みの中で切実に困っている人がいたので、引き受けることにした。
自分で言うのもなんだが完全に善意である。
その掲示板では何度かそういう代行を引き受けたが、どの人もきちんと対応してくれたし、常々ファンのマナーも良いと感じていた。だから今回も大丈夫だろうと思ったのである。
元々、ネット上の取引は主に舞台や映画、イベントのチケット関係で利用することが多い。
残念なことに、企業を間に挟まない個人間の取引は、よく利用する人はわかるだろうが、いい加減な人や詐欺目的の悪い輩が非常に多い。そういった詐欺の被害報告や注意喚起もネットにあふれている。
私もこれまでドタキャンや音信不通、バックレなどは何回もあった。
しかし、金銭的な被害は一度も被ったことがなかった。
そこに油断があったのだろう。同じアーティストが好きなファンなら、誠実な対応をしてくれるだろうと思ってしまったのである。
今回のグッズ代行の依頼者を仮にGとする。
私が申し出ると、Gからものの5分くらいですぐに返事が来た。メールアドレスはフリーメールだった。
欲しいのはA賞とB賞だが、C賞、D賞も購入してくれれば買い取るという。
グッズ代のみ当日は立替てもらい、後日商品代および交通費をし払うということだった。
グッズの送付先住所氏名を教えて欲しいと書くと、返事はすぐに来るものの個人情報の記載は一切なかった。ただ抽選番号がわかったら教えて欲しいと繰り返す。
私はそれでも見ず知らずのどこの誰とも知れないGを信用して、代行をすることにした。
そして、もう展開はおわかりだろうが、その信用は見事に裏切られることとなる。
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