第40話 ダイエットは来世から




【前回まででもないあらすじ】

「第14話 上がらないチャック、肉肥ゆる初夏」 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881038799/episodes/1177354054881091127



 初夏に4キロも太ってしまい、ダイエットをすることにした。

 ただ食事を抜くのは身体によくないと思い、最低でも2食は食べることにして……以前やって成功した「しょうが紅茶ダイエット」をすることした。


 方法は至って簡単。毎日ことあるごとにしょうが紅茶を飲みまくるだけ。

 普通の紅茶にすりおろしたしょうがを入れてもいいし、市販品のしょうが紅茶を買ってもいい。しょうがが身体をあたためることによって代謝をあげ、さらに利尿作用で水太りを防ぐというダイエット方法だ。


 確かに飲むとすぐに身体がぽかぽかしてきて汗も出る。

 前回試してみたところでは、普通に食事をし、しょうが紅茶を飲んでいるだけで、一ケ月で2キロも痩せた。これは楽でいいと感激した次第である。


 私はお酒はあまり飲まないのだが、お茶は大好きで毎日2リットル近く飲む。

 というより、飲み物がないとものが食べられないのだ。ご飯だけ、おかずだけ、おやつだけで食事はできない。必ず飲料が必要。なので飲むこと自体は全く苦ではない。

 今回のしょうが紅茶ダイエットも楽勝……のはずだった。


 しかし、始めてみるとこれが意外と辛い。

 理由は至って単純。暑いのである。ただでさえこの季節、じめじめして蒸し暑くて扇風機まで回しているのに、しょうが紅茶を飲もうものならさらに身体が暖まり、汗だくになってしまう。

 暑いのに、しょうがのおかげでヒートテックならぬミートテックがヒートアップ。

 お茶を飲むたびに、ゼエゼエ、ハアハアと息を切らし、何の苦行かと思うのに、風呂上がりに飲もうものなら暑苦しすぎて悶絶もの。辛い。辛すぎる。

 大体、風呂に入ったあとでまた汗をかいてどうするのか。

 不快指数もマックスである。といっても、これをアイスティーで飲んでも身体を冷やすだけで効果はないだろうし。


 結局、あまりに辛すぎて三日で止めてしまった。

 そういえば前回しょうが紅茶ダイエットをしたのは、1~2月だったよ……。

 これは寒い時期だからこそ有効だったのだね……。


 というわけでダイエットは三日坊主で失敗し、その他の「楽して痩せる方法」を摸索しながら、いただきもののお菓子を食べ、誘われるままに肉を食べ、旅行先でも肉と山の幸を食べ、麺類中心に一日2食食べていたら……さらに1キロ肥えてしまった。ああああ……!


 いやだって、誘われたら断れないんだもの。

 具合が悪いわけでもないのに、注文したものを残したくないんだもの。

 残したら「勿体ないおばけ」が出るって子供の頃から散々躾られてきたので、残すのに罪悪感が半端ないんだもの。


 出されたら食べてしまうんだもの。

 人様の厚意を無下にはできないし、皆でうまうまと食事を楽しんでる最中に、「あ、私ダイエット中なんで」なーんて空気読めないこと言えないし、太ったと言ったところで「誤差の範囲だよ」と言われて終わってしまうし。

 4キロが誤差の範囲なわけないでしょ……と思いつつも気がつくと食べていて、さらに1キロ肥えてしまった。絶望、そして絶望である。


 えっと……これはどうしたもんかな?

 ダイエットは明日から……と思ったけど、明日も肉食獣の宴があるんだった。



 もうダイエットは来世からでいいかな?


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