第9話 Pixivで1点つけられたけど




 私はカクヨム以外にも小説投稿サイトを利用している。

 Pixivにも置いているのだが、名義も違うし、二次創作なのでこちらで紹介するつもりはない。

 同人(二次創作)は趣味である。別に隠してはいないけれど、声を大にして主張するものでもないと思っている。

 同好の士とのんびりまったりやっていければそれでいい。

 ただ、同人の方から知ってこちらを見てくれる人もいる。これは大変ありがたい。

 どこから来ても、諸手をあげて大歓迎である。

 人に作品を見てもらえる入り口は、幾つあってもいいと思う。



 今回は、趣味としての創作の話。

 そのPixivなのだが、ユーザ評価として点数制度がある。

 イラストにしろ漫画にしろ小説にしろ、見たり読んだりした人が1~10点で評価できるようになっている。

 勿論点数は自由につけていい。

 だが、「1点をつけるのは嫌がらせ」である……らしい。

 中には「1点に値するからつけた。正当に評価した」と主張する人もいるかもしれないが、そう思われることはまずないというくらいユーザの間では常識のようだ。


 この1点嫌がらせの話を聞いた時は、思わず笑ってしまった。

 やっていることがあまりにせこく、卑小だからである。

 自分の好みに合わない絵柄、テイスト、話を「わざわざ時間をかけて見に行って」作品にしろ、作家に対してにしろ1点をつけて回る。

 その労力を別のことに使えばもっと毎日が充実しそうだが、そうでないからやるのだろうね。私などは「あほらし」で終わるが、創作者はえてして繊細な人が多い。

 荒らしなども含め、執拗に繰り返されると参ってしまう人もいるようだ。

 実際、悩んでいる人から直接話を聞いたこともある。


 オリジナル創作もそうかもしれないが、二次創作の世界も表向きはどうであれ、水面下はどろどろしていることが多い。

 信じられない非常識や、人間の嫌な部分が沢山散見されるし、ネットを眺めていると見たくなくても目に入ってきてしまう。困った人はどこにでもいるが、特殊な世界ゆえに、問題が複雑化する傾向にあるようだ。釣りなのか、煽りなのか、瑣末な問題をやたらに騒ぎ立てる人も多い。

 創作をやめていく人たちは、学業や仕事が忙しくなったり、家庭の事情、創作に興味がなくなって……という人もいるだろうが、自分が知る限りでは嫌がらせや誹謗中傷、粘着、いじめ、無断転載、晒し上げ、狭い人間関係、謎の派閥争い(聞いていても本当に謎)、金銭トラブルなどに疲れてジャンル撤退、もしくは引退という人も多かった。

「立つ鳥あとを濁さず」で、皆表だって言わないだけである。

 創作自体は大好きなのに、まだまだ続けたいのに、去らざるを得ない事情を聞くとなんともやりきれない気持ちになる。怒りや悲しみで誇張されている部分を差し引いたとしても、匿名の悪意や陰湿さには辟易する。

 その謎のダークパワーを他のことに向ければ、もっと生活の質が向上しそうな気がするけど、そうでないから以下略。


 で、話を戻して1点爆撃なのだが、実は私も何度もくらっている。

 くらってはいるのだが、石ではなく砂を一粒投げつけられているようなせこさなので全くもってどうでもよい。

 よっぽど暇なんだなあ……と思って放置していたが、しばらくしてあることに気がついた。1点爆撃をくらってから、少し日を置いて見にいくと、

 31点が40点になったり、251点が260点になってすっきりしている。

 あれ……? と思った。その後も、こういったならしは何度もあった。

 つまり、1点爆撃をしてまわる陰湿な人がいる一方で、1点評価の作品を見た(1点を見たら作者が悲しむかもしれないという想像力のある)優しい人が1点の痕跡を失くすために9点をつけてくれていたのである。

 実際は9人の読者が1点ずつつけているのかもしれないが、だとしてもならされたことに変わりない。


 私はならしに気づいた時、とても嬉しかった。

 作品を見ている人は確実にいて、言葉はなくともささやかな意思を感じた。

 つくづく世の中は上手く回っているなあ……と思った。

 捨てる神あれば拾う神あり。

 嫌う人もいれば、そっと庇ってくれる人もいるのである。

 嫌なことがあっても、悪いことばかり続くわけではない。

 創作活動もそうだし、きっと万事がそうだ。


 だから今、いわれなきことで傷ついたり悩んでいる人もあまり思い詰めず、応援してくれる人のことだけを考えて(いないなら美少女でもイケメンでも癒し系動物でもご褒美のスイーツでもなんでも妄想で補って)、自分の楽しみと満足のために創作をして欲しい。

 商業はそういうわけにはいかないが、同人はあくまで個人の趣味なのだから。

 忠告やアドバイスは受け入れつつ、なんか頭のおかしい人の意味不明ないちゃもんはスルーして忘れ、実害が出たら警察へGO! みたいな気持ちで頑張って欲しい。

 その方が創作活動も人生も楽しい。


 ちなみに、読者の中には点数で遊ぶ人たちがいる。

 自分が見た中では、114(いいよ)、555、666(ホラーの話についていた)、753、777、2323(ふさふさ?)、2525(にこにこ)、1129(いいにく)、4649(よろしく)、11874(いいはなし)があった。

 人によると思うが、こういう仕込みは好きなのでこれからも見てみたい。


 カクヨムにも、こういうヨム側がちょろっと遊べるシステムがあるといいのにな……と思ったりもする。

  

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