そして男はダイエットに挑む。自分の肥満を正当化するために……!

標準体型よりもちょっぴり太目である作者が、肥満についての論考やダイエットをする過程を描いたこのエッセイ。
まず書き出しが良い。毎回何かしらの食事をしているところから始まっているのである。

食べているものも、汁粉、ジャワカレー(ガラムマサラ付き)、ラーメン+ライスなど、説得力があるものばかり。
これを読んで読者は「ああ、この人は本当に太ってるんだな」と、頭ではなく心で理解できてしまう。
その後も「腹が減ってないのに飯を食う人間は、平和の体現者である」と断言して、それを証明するためにとんでもない理屈をひねり出したり、自身の体に潜む問題を愉快な体験談を交えて色々披露して、「俺が太っているのはしょうがない」ということを読者に正当化しようとする。

しかし、言葉だけでは説得力がないと見た作者はなんとダイエットに挑戦。
それもただ痩せるためのダイエットではない。
自分がダイエットをしても決して痩せることはない運命的な肥満であることを証明する逆説的ダイエットだ! 
体重だけではなく、体脂肪量や筋肉量、その日に摂った食事や、行った運動までしっかり読者に公開して、堂々勝負!

果たして作者は本当に痩せないでいられるのか…………とかそういうダイエットの成否はわりとどうでもよくて、
とにかく文章がユーモラスで凄く面白くてとにかく読ませるので、騙されたと思って最初の3本だけ読んで気に入った人はそのまま続きをどうぞ。
ダイエットに興味のある人にもない人にもおすすめです!

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)

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