第24話 祭りという季節
数日前、小さな町の至るところに赤と白の縦縞提灯が光り、夜を照らしました。笛太鼓の音、掛け声、歌声が聞こえる……1年の中で誰もが心待ちにしている祭りの日でした。
白状しますと、自分は笛吹きです。
ユネスコ無形文化財に登録された「山鉾・屋台行事」の祭りのひとつに参加しました。町を巡る車に乗った囃子方……太鼓、笛、鉦(かね)、三味線、鼓の1人として乗りました。
初めて乗ったのは昨年。2016年夏のエピソードがすっぽり抜けているのは祭りの稽古で手いっぱいだったのもひとつの理由です。というのは言い訳ですね。
今年は2年生、まだまだ未熟。悔しい思いを沢山しました。
篠笛は主旋律。歌うようにピリリと吹ければ、とても気持ちが良いものです。
ところが「できるか?だめか?」と弱い心がそのまま音に出てしまった。緊張すると手や口が強張って音が鳴らなくなってしまうのです。
今年覚えた曲は全てそんなでした。なんて不自由な。一緒に稽古した先輩方に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただし「来年もよろしくね」とお言葉を頂いた。
そうだ、落ち込んでばかりいられない。結果をしかと受け止め、進まなくてはこの悔しさの行き場がない。次こそ自由になるぞ。
失敗も成功も全てを引っくるめ、心燃える祭り。これだから止められない。春夏秋冬と同じくらい、欠かせないのです。
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