第17話 春の定義

桜の花びらがはらはらと散る今日です。東西日本の人からすればまだ咲いていたか、と言われそうですが。

腕いっぱいの桜もきれいですが、やっぱり舞い散る桜にも目を奪われるものです。


さて本日、ある新人戯曲集を読み終え、恩師の言葉を思い出しました。


「自分の絵はこうだと決めつけない。常に新しい絵を描く」


というのも、戯曲の幅広さと自由を教えてくれる作品集だったのです。

「物語は主人公が葛藤して、誰かと出会って課題を乗り越えるもんだ」という狭い定義を覆してくれるものでした。

ポジティブ、ネガティブ、希望、絶望、集結、分散、解決と謎。


「物語はこうだ」「戯曲はこうだ」「自分の表現はこうだ」と決めつけない。むしろあらゆる可能性、方向性を持っていよう。


桜吹雪の行方も自由なのですから。


どんな花を咲かすかだって自由です。モクレン、たんぽぽ、レンギョウ、すみれ、山吹、シバザクラ。同じ春、同じ根っこであろうが、花たちはみな新しいのだ。


新しいものに定義はないよ。


顔なじみの春に教わるのでした。

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