第5話 歯医者と書物

 最近の休日は書くことと、歯医者に行くこと。何だってこんなに天気が良いのに、締め切りを抱えながら歯を治すのやら。長く放っておいたツケです。


 しかし、良いこともあります。週に1度、山里から自転車を漕ぎ歯科に向かう途中、変わっていく草木に心動かされます。

 秋田から旅立たず、通年暮らすのは3年ぶりです。落ち着いて一風景を見つめるのは久しくありませんでした。


 今日、青空を写していた田んぼには、植えられて間もない細い稲が並んでいます。見た目はとても華奢ですが、雨上がりでもしゃんと立っています。短い間にしっかり根を張っているんだろうな。


 木々に目を移せば、柔らかな若葉はもう青年のように強くなっています。夏になったら自分が及ばないほど、立派になるでしょう。


 1年の間にぐんぐん成長する緑たち、すごいな。ちょっとのことで落ち込んでるばやいじゃないぞ。人間よ。


 ですが、年長の星、地球を大丈夫か? と心配することが増えました。地球からすれば何億世代下かわからないほど、末裔の自分が。

 夏の気温が30℃を越えるのが当たり前になり、例年にない大雨大雪が降り、災害が起きたりしています。


 だから今、自然と人の付き合い方をテーマに書いています。この先も緑の風景と暮らして行きたいからです。

 そう思うのも、山や田んぼ、夜には星たちに囲まれているからでしょう。


 という訳で、歯医者に行くのも悪くない。地球を心配する前に、自分の歯を治すのだ。

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