第28話:キス

 途中、安曇野で休憩がてら軽く散策し、サービスエリアで夕飯を食べ、設楽の家に到着したときにはもう夜も大分回っていた。

 家の近くまで来たときに大竹の携帯にメールの着信が入り、車を停めてから「ちょっとメール、良いか?」と携帯を操作すると、それは遠山からのメールだった。


「お、遠山からだ」

「何!?何て書いてあるの!?ちょ、見せて!!」

「お、おう」


 メールには、運転の労いと、大竹と設楽への謝罪が書いてあり、その後をスクロールすると……。




『ところで、ひょっとして大竹って智と付き合ってる?

 だから一緒にお泊まりに来たの?

 俺達、ひょっとしてメチャクチャ邪魔しちゃった?

 いや、やっぱり何度考えても、大竹あの時智にキスしようとしてたよね?

 それにメアド交換するくらいであの智の怒りっぷりとかないわ~(-3-;)

 だったらさっさと言えよ!

 さすがに俺も、馬に蹴られて死ぬ趣味はないぜ?

 あ、心配しなくても大丈夫!

 俺誰にも言わないから!

 もちろんおばさん達にもね!

 それじゃ、本当に今度飲みに行こうぜ!

 じゃ、おやすみ!』


 

 2人は顔を見合わせ……それからガクリと頭を落とした……。


 遠山~~~!!!

 おま…それで済むなら何で俺らここまで振り回されたんだよ!!つうか、気がついても黙ってろよそういうこと……!何なんだよお前!何なんだよふざけんな!最後まで本当に空気読まない奴だなぁ……!!!


 2人は車の中で固まったまま、暫くの間動くことが出来なかった。それからどちらからともなく盛大な溜息をついて、「じゃ、帰ろうか」と車のドアを開け……



 それからこの夏休みの思い出の総仕上げに、二人はそっと、触れるだけのキスをした。



~終わり~



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この後、後日談が2つ入ります。

もう少しお付き合い下さいませ!!


 イヌ吉拝

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