第53話 『魔王。聖女に出会う』



 ☆シルスティーナ




 私は教会の中を歩き回って『治療院』に辿り着くと、そこでヨロヨロと歩き回っている人物を見つけて――深く嘆息した。


「エルジル様。まだ安静にしていなくては駄目ですよ」


 教会の勇者筆頭――エルジル=エイセリアは私の呼びかけに振り返ると鋭い視線を向けて睨みつけてきた。


「私は…もう大丈夫だ」


「本当に大丈夫な人はそんな真っ青な顔で歩き回ったりはしません」


「…だからと言ってジッとしている訳にはいかんだろうが」


「今のあなたが動き回っても状況が好転したりはしません」


「……」


 元から無かった左腕と右目だけではなく、右腕と両足を失った彼は私の作った義手と義足をつけてギリギリで生活出来るようになったばかりだ。


 これから長い時間を掛けてリハビリしても一般人と同等程度に生活出来るまでにも相当な時間が掛かるし、元の戦闘力を取り戻す為にはそれこそ数十年は掛かるだろう。


「どんな代償を支払っても構わん。戦えるだけの腕と足を用意出来ないか?」


「無茶を言わないでください。最低限、今の義手と義足を満足に動かせるようにならないと話になりませんわ」


「つまり…この腕を足が動かせるようになれば可能なのだな?」


「……」


「ならば…やはりジッとしている訳にはいかん」


 私の沈黙をYESと捕らえたのかエルジル様は再びヨロヨロと歩き回ってリハビリを開始した。






 私はシルスティーナ。


 現在の教会の中で唯一まともに動ける『勇者』であり――何の因果か『聖女』なんて呼び方もされている女だ。


 勇者筆頭であるエルジル様が教会内に入り込んだ魔王に破れ、四肢を失った為に私が義手、義足を作りリハビリを補助してきたが――彼は相変わらず自分を大事にしてくれない。


 自らの命を削り、寿命を縮めてでも教会の為に働こうとする。


 それが勇者筆頭エルジル=エイセリアとしては相応しい姿なのかもしれないが…。


「(もう少し…私を頼ってくれても良いのに)」


 長い時間彼と共に勇者として働いてきた私としては少し寂しさを感じてしまう。


 元来優秀である彼は大抵の事は自分1人でやろうとするし、実際に1人でやり遂げてきた。


 その性質の為か、以前から左腕の義手を作るという私の提案を頑なに拒み続けてきたのだけれど、その判断が今完全に裏目に出てしまっていた。


 せめて左腕だけでも義手をつけて慣らしておけば、こんなに長いリハビリをしなくても済んだかもしれないのに。


 それ以外にも色々な事を考えつつ――私は教会の地下への階段を下りていく。


「お待ちしておりました。シルスティーナ様」


「…ご苦労様です」


 そして地下で私を待っていたのは黒いローブに身を包んだ1人の男で、彼の前には巨大な魔方陣――転移魔方陣が用意されていた。


「それでは、お願いしますね」


「畏まりました」


 そして転移魔方陣の中に入った私を確認してから彼は――闇属性の魔法使いは詠唱を唱え始め私を目的の場所まで転移で送ってくれた。


 教会の中にはいくつか隠された転移魔方陣が存在するが、これは私の為に用意された私だけの為の転移魔方陣。


 教会の転移防止結界を掻い潜る為に相当地下深くまで掘られて作られた物だが、どうしても私には必要な物だった。




 ★




 俺は現在、人間種の王国の城の中庭の芝に座り込んで騎士の訓練風景を眺めていた。


 普段なら俺の傍にはオリヴィアと輝夜が居る筈なのだが今は俺1人だった。


 ちょっとした遊び心がきっかけでオリヴィアと輝夜で『飛行速度』を競う事になり、人間種の国を一周して早く戻ってきた方が勝ち――というルールで競争中だったりする。


 純粋に飛ぶ事に関しては天翼種であるオリヴィアの方が圧倒的に上なのだが、速度だけなら魔力量が勝る輝夜の『フライング・ユニット』も負けていない。


 そういう訳で2人が戻ってくるまで暇な俺は城の中庭でボンヤリしていて、そこに騎士達がやってきて訓練を始めてしまった訳だ。


「(練度で言えば輝夜達『ドールズ』とどっこい程度だな)」


『ドールズ』は基本スペックの割に経験がつたないので技術だけを争えば騎士達と良い勝負になるだろう。


 まぁ良い勝負が出来るというだけで最終的には基本スペックが勝りオリヴィアに指導を受けた『ドールズ』が勝つだろうけど。


「よぉ、見ない顔だな。新入りか?」


 そんな事をボンヤリ考察していた俺に1人の青年が声を掛けてくる。


「新入り…かなぁ?新入りかもなぁ」


 俺がS級魔法士になって既に1年以上が経ったが、それでも他のS級魔法士に比べれば『新入り』の域を出ない事は間違いない。


「なんだぁ?随分と曖昧な返事だな。そんなんじゃ騎士団でやっていけねぇぞ」


「騎士じゃなくて魔法使いだからな」


「え?ひょっとして…どっかの貴族様だったり?」


「この恰好で貴族とかありえんだろう」


「だよなぁ~」


 俺の格好は決して高価とは言えない普段着と両親からの餞別であるダガーと外套といういつもの恰好だ。


 間違っても貴族はこんな恰好しない。


「貴族じゃないのに魔法使いって言うと…王立魔法学院の卒業生か?」


「まぁな」


「へぇ。凄げぇじゃん。あそこを卒業するのって騎士学院より難しいんだろ?」


「騎士学院の卒業試験は受けた事が無いから比較出来んなぁ」


「そりゃそうだ。ぶははっ!」


 陽気に笑う青年騎士。


 俺の正体を知ったら目ん玉飛び出るくらい驚くだろうけど。


「訓練に混ざらなくて良いのか?」


「あ~。本当なら俺も訓練する必要があるんだが…『あれ』を見ちまったからなぁ」


「ああ。『あれ』ね」


 そのニュアンスで『あれ』が『ドールズ』がはっちゃけて天使達が流した映像の事だと悟る。


「あんなの見たら剣を振り回してもどうにもならないって気にさせられてな。どうにも気合が入らねぇんだよ」


「…そうだな」


 技術じゃ競い合えると評価したけど基本スペックの圧倒的な差はどうしようもない。


「あの映像って何が原因で何の為に流されたのか知っているか?」


 とりあえず彼の心情は脇に置いて、丁度良いのでリサーチしてみる。


「ああ。なんか大魔王が弱体化して、それで反旗を翻した魔王の大軍団が一瞬で壊滅させられた映像って事じゃね?」


「そうなのか?」


「唯の噂だけどな。まぁ、あの映像を見る限り大魔王が弱体化したってのも嘘くさいけどな」


「ふぅ~ん」


 この情報から逆算して考えると、教会の勇者筆頭のエルジルは俺の情報を世界中に発信するという事はしていないらしい。


 まぁ、俺でも例の映像の元凶の情報なんて世界中を混乱させるだけなので流す気にはなれないだろうけど。


 伝えても各国の上層部までで、しっかり口止めを徹底してあるのだろう。


「(思ったより動きにくくなっていないのはそういう事か)」


 なんて事を1人で考えていたのだけれど…。


「おい。あれ見ろよ、あれ」


「ん?」


 青年騎士に促されて視線を向けると1人の女騎士が訓練に参加するところだった。


 それは見覚えのある女騎士で、まぁ――俺の担当騎士のセレーナだったのだが。


「(そういえば、あいつも一応は騎士団所属だったっけ)」


 最近、魔王の仕事ばかりしていたし久しぶりに見た気がする。


「良いよなぁ、セレーナさん。美人でスタイルも良いし、良い所のお嬢様だし。おまけにメチャ強いし」


「…強いの?」


 俺の中には『セレーナ=強い』のイメージが全く無かったので困惑が強かった。


「そりゃ強いだろ。王立騎士学院を主席で卒業した才媛だし、幼い頃から『剣聖』に指導を受けてきた生粋のエリート騎士だぜ」


「へぇ~」


 この国に剣聖なんているんだ。


 全く興味がないのでボンヤリ見ていたのだが、セレーナの登場で周囲の騎士達が活気付いて訓練に熱が入り始めていた。


「俺達も行こうぜ」


「いや。だから俺は騎士じゃないっての」


「良いじゃん。セレーナさんに指導して貰おうぜ」


「…やだよ」


 なんで俺がセレーナに指導を受けなきゃならんのだ。


 それでなくともサミエルに面倒な仕事を押し付けられて頭が痛いのに、これ以上面倒を抱え込むのはごめんだった。


「あ」


 なんて事を考えていたらセレーナの視線がこちらに向いて――俺を見て目を丸くしていた。


「お、おい。なんか…セレーナさん、こっちに来るぞ」


「…面倒臭ぇ」


 別に用事も無いんだから普通にスルーしてくれれば良いのに。


「こ、これは『歴代最速』様!気付かずにご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした!」


「お~。久しぶり」


 とりあえずビシッと敬礼してくるセレーナに適当に片手を上げて答える。


「あの…一応私は定期的に冒険者ギルドに顔を出していたのですが…」


「俺も色々忙しいんだよ」


「そ、そうですよね」


 というか冒険者ギルドを溜まり場みたいに使っているが、そこを集合場所みたくされても俺が困るのだが。


「えっ…と…え?『歴代最速』って…S級魔法士の?」


 そして青年騎士が当然のように混乱していた。


「『歴代最速』様はカナトとお知り合いでしたか?」


「名前も今初めて知ったくらいにはお知り合いだなぁ」


「そうでしたか」


 うんうんと何かを納得しているセレーナ。


 いや。要約すると初対面で知り合いじゃないって事を言いたかったのだが、ちゃんと伝わっているのか?


 どうもセレーナは『クソ真面目』な感じがして冗談が通じない。


「それで…何故『歴代最速』様はこちらに?私に何か御用でしょうか?」


「いや、待ち合わせ。待ち人が来るまで暇だから見学してた」


「そうでしたか」


「……」


 こいつは俺が何を言っても『そうでしたか』と答えそうだな。


「(やっべぇ。国のトップに立つS級魔法士にタメ口きいちまったよ。俺オワタ)」


 青年騎士――カナトの方が小声で絶望していたが、まぁスルーで構わんだろう。


 こいつをどうこうするつもりは俺には無いし。


「あら」


 そんな感じで面倒な事をスルーしていると、またも声が聞こえて振り返ると――1人の修道服を着た美女が俺を意外そうな顔で見つめていた。



「初めまして…で良いのかしら?『魔王ラルフ』殿」



 そして平然と俺の正体を明かしてくれやがった。



「ええ、初めまして。『聖女シルスティーナ』殿」



 俺も平然と彼女の正体を明かしてやった。


「 「 …… 」 」


 そして当然のように2人――セレーナとカナトは凍りついたのだった。






 現在の教会で唯一動き回れる勇者――通称『聖女』と、大魔王の配下の中で唯一自由に行動出来る『魔王』の出会い。


 それは、この場で殺し合いが始まってもなんら不思議ではない『出会い』ではあったけれど…。


「不思議なものですね。お互いの噂は聞き及んでいるのに実際には今が初対面なのですもの」


「世の中そんなものでしょう」


 俺は芝の上から起き上がり、ポンポンと服に付いた土を落とす。


「それで…ここで殺る?」


「まさか。お互い正規の立場に戻っているのに態々面倒な事をする必要も無いでしょう」


「同感ね。あなたが好戦的な人でなくて安心しました。S級魔法士『歴代最速』のラルフ=エステーソンさん」




「こちらの台詞ですよ。S級魔法士『鉄腕』のシルスティーナ=『ガゼル』さん」




「あら。やっぱり知っていたのね」


「…お互い噂は隠し切れないほど有名ですからね」


 そう。この女は教会の『聖女』と呼ばれる『勇者』であるのと同時に、人間種の国では『鉄腕』のガゼルと呼ばれるS級魔法士だ。


 これは勿論、異常な事だ。


 俺が――人間種出身の俺が『魔王』になっている事だけでも異常なのに、人間種出身であるシルスティーナが『勇者』になっているのだから。


 人間種の『たかがS級魔法士』が『勇者』や『魔王』になっている事自体異常なのに、それが同じ世代から2人も出た。


 これは間違いなく異常事態なのだろう。


「丁度良いから忠告しておくけれど、あなた…少しやりすぎよ」


「例の事なら配下が少し張り切りすぎただけです。私としては『あそこまで』やるつもりはなかった」


 だからと言って『それ』を態々話し合う気は俺にもシルスティーナにも無かったけれど。


「エルジル様の事は?」


「私の女に傷を付けさえしなければ、もっと穏便に済ませたのですがねぇ」


「…なるほど」


 そう言ってシルスティーナは少しだけ納得した。


「天使に関してはどう思っている?」


「明確に敵だという事以外は何も知りませんねぇ」


「私の質問に淡々と答えているけど、私には何か聞きたい事は無いのかしら?」


「今は特に思い当たりませんねぇ」


「うん。ここまでのやりとりだけで君を敵に回すのはやめた方が良いという事だけは良く分かったわ」


「それはありがたいですねぇ」


 実際、今の俺にこの女――『聖女』シルスティーナの相手をしてやる余裕はねぇし。


「っていうかシルスティーナさんは『土属性』の魔法使いですよね?なんで『聖女』って呼ばれているんですか?」


「…聞きたい事はなかったんじゃないの?」


「今思いつきました」


「『聖女』の呼び名の由来は私の方が知りたいくらいです。少なくとも私が言い出した事ではない事は間違いありません」


「修道服なんて着ているからじゃないですか?」


「…私が教会に入った当時は女性は修道服を着るのが規則だったのです」


「……」


「そこで私の年齢を聞いてこないところには好感が持てますね」


「…女性に年齢を聞くなんて怖い事出来ませんよ」


 いや。実際には大体の年齢は把握しているのだが、この女の逆鱗が分からない以上、迂闊な事を聞く気はない。


 少なくとも俺としても『この女』と敵対するのは余り歓迎しない。


「逆に聞きますが、あなたの年齢はいくつでしたかしら?」


「…17です」


「若っ…!」


 予想以上に俺の年齢が若いので本気で驚いたようで思わず声が出たようだ。


 それだけで、この人が何歳なのか大体予想が付きそうは反応だ。


「こほん。それでは私は閣下に報告がありますので…」


 自分でもそう思ったのか1つ咳払いをして立ち去る――直前に風が巻き起こる。


「あ」


 俺達が居た城の中庭の上空から翼を広げて舞い降りる神秘的な女性が1人。


 それは勿論、輝夜との競争を制したオリヴィアだった訳だけれど――分かっていても、その美しさに思わず見とれた。


 無論、注目していたのは俺だけではなく中庭に居た全ての視線を独り占めにした神秘的な美しさを持ったオリヴィアは…。


「勝ちました♪あなた様♡」


 輝く笑顔を見せて、その場に居た全ての男のハートを鷲掴みにした。


「あ♡」


 無論、俺も例外ではなく笑顔で報告してきたオリヴィアを思わず抱き締めてしまった。


「こ、こんな明るい内から…恥ずかしいです、あなた様ぁ♡」


 恥ずかしがるオリヴィアが更に愛おしくなって強く抱きしめて頭を撫でる。


「うぅ。オリヴィア様…お速いです」


 続いてメイド服を纏った少女――輝夜が中庭に降り立ってオリヴィアに負けて少しションボリしていた。


「惜しかったなぁ」


「マスター♡」


 俺が慰める意味でも頭を撫でると頬を染めて嬉しそうに目を細める。


 実際、オリヴィアから1分も遅れずに到着したという事は先行するオリヴィアを必死に見失わないように追従してきたという事だし敢闘賞くらいは上げても良い。


「噂の人形兵に天翼種まで陣営に揃えているのね。しかも非常に高度な飛行能力を備えているとなると…やっぱり敵対しない方が無難ね」


「まだ居たんですか?」


 抱き合う俺とオリヴィア、更に輝夜を分析していたシルスティーナをジト目で見ると肩を竦めてきた。


「バレて困る事でも無いけれど、一応口止めはしておこうと思ってね」


「ああ。それもそうですね」


 俺が向き合ったのは未だに唖然とした表情のセレーナとカナト。


「長生きをする為のコツを教えてやろうか?」


「え?」




「それは沈黙を守る事だ」




「 「 …了解しました 」 」


 余計な事を喋れば殺す――と忠告したら2人同時に首をブンブン縦に振って快く頷いてくれた。


 うんうん。人間素直なのが1番だね♪




 ★




 ともあれ息抜きのレクリエーションも終わったので本格的にサミエルの依頼に着手する事になる訳だが…。


「あなた様。サミエル様から依頼のあったお医者様とはどういう方なのでしょうか?」


「…エルフらしい」


 サミエルさんったら、それしかヒントをくれないんだから――ド畜生がっ!


 あんのクソ魔王、自分でも噂レベルでしか知らなく癖に人に探して来いとか言うんじゃねぇよっ!


「エルフとは『天聖力テレズマ』を使う事が出来るのですか?」


「…さぁ?」


 正直、エルフの事はいくらか調べた事があるが、それでもエルフが天使族と繋がりがあるなんて話は聞いた事がないし、天使族だけが使う事が出来る『天聖力テレズマ』を使えるかどうかなんか聞いた事も無い。


「…本当にそんなお医者様がいらっしゃるのでしょうか?」


「居なかったら速攻帰ってくれば良いよ」


 どうせサミエルさんの願望でしかない依頼だし。


 今回の依頼って地球で言えば『サンタクロースを見つけて来い』と同レベルの依頼だと思って良い。


 最初から居ない者を連れて来いと言われても不可能に決まっている。


「何はともあれ、まずはエルフの住む『迷いの森』に行ってみないと話にならないな」


「問題は、わたくし達が『迷いの森』に行った事がないという事ですね」


「だなぁ」


 それはつまり転移石で飛ぶ事が出来ないという事であり、最初の1回は自力で辿り着かなければいけない場所だという事だ。


 その為に移動手段の試し運転という意味でも今回の『飛行競争』が実施された訳だが…。


「俺は2人ほど速く飛べないんだよなぁ」


 俺自身が開発した『フライング・ユニット』があるので飛行自体は可能だが、人間種の魔力量しか持たない俺は『ドールズ』に比べると『飛行速度』で大分劣る。


「予定通りマスターは私の『龍飛翔翼ドラゴニック・ドライブ』にお乗りください♪」


「わ、わたくしが抱きかかえて飛びますわ!」


「流石にオリヴィアは人を1人抱えて飛ぶのは無理だろ」


 飛ぶ事に関しては天翼種のオリヴィアの方が優れているが、便乗させて貰うなら輝夜の『フライング・ユニット』の方が安定する。


 まぁ、この言い争いの為に競争を許可したと言っても良いくらいだ。


「オリヴィア様、そこまで不満なのでしたらお2人でお乗りになられても構いませんよ?」


「うぅ。折角遠距離までの移動なのですから出来れば自力で飛んで行きたいのです」


 天翼種としては飛ぶ事を他人任せにはしたくないのだろう。


 それからいくらか言い争いがあったものの、結局俺は輝夜に便乗させて貰う事になった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る