第42話 『魔王。配下の信頼と装備を強化する』
魔法使い同士の戦いというのは基本的に『情報戦』になるのが一般的だ。
まず最初に『相手の属性』を見極める。
それから相手の使える魔法を調べ、その中から得意な魔法を選別する。
そうして敵に魔法を可能な限り封じ込めて、同時に自分の魔法を隠蔽して可能な限り有利な『場』を作り上げてからが本当の魔法を使っての戦いになる。
不用意に自分の魔法――手の内を見せるのは魔法使いにとって愚かな行為であり、相手の情報を知らずに戦うのは魔法使いにとって命取りになる。
そういうセオリーがあるにはあるのだが――俺の『アトミック・レイ』はその常識を悉く覆してしまう。
まさに『
どこの『エターナルフォースブリザート』だと思うような理不尽さだが、情報を集めようとする魔法使いは後手に回る事が多いので容易く俺の先制を許し――結果『アトミック・レイ』の速度と威力に対応出来なくて一撃で仕留められる。
「つまり、こういう魔法を1つでも持っておくと魔法戦では格段に有利になる訳だ」
俺はオリヴィアの魔法の講義で『アトミック・レイ』を実際に使ってみせる。
威力こそ俺の切り札である『核融合』から撃ち出される『アトミック・ブラスター』の方が圧倒的に上だが攻撃速度や発射までの早さなどを考えると使い勝手という点においては『アトミック・レイ』は非常に優秀だ。
「でも…難しそうですね」
「習得するまでの段階を踏むという意味でも良い訓練になるから覚えておいて損はないさ」
俺の『アトミック・レイ』やソフィアの『ウォーター・カッター』は指先に『初級』の魔法を収束、圧縮して放つ魔法なので自然と『魔法制御力』や『魔法力の精製』が鍛えられる事になる。
初級とはいえ指先にドンドン魔法力をつぎ込んでいく必要があるので『魔法力の精製』が鍛えられ、指先の一点に収束・圧縮する必要があるので『魔法制御力』が鍛えられる。
魔法の訓練に非常に役立つ上に実戦でも使える『無駄のない魔法』って奴だ。
「あなた様とソフィア様も『この訓練』をやっていたのですか?」
「やっていたというか俺もソフィアも未だに魔法の訓練では『これ』をやっている」
圧縮の密度を上げていけば必要となる魔法力や魔法制御力は跳ね上がるので『ここまでやったら終わり』という事はないし、場所を取らないので何処でだって訓練出来る。
「なるほど。合理的な訓練なのですね」
「ってか。魔法の訓練に無駄な時間掛けたくないじゃん」
そんな暇があったら俺は可愛い女の子とイチャイチャして居たかったのだ。
「くす。そういうところは前世の頃から変わっていませんね」
「人間、そんなに簡単に変わるもんじゃないさ」
前世の頃はオリヴィアとイチャイチャするのが最優先で、それ以外の事は『効率的で合理的』に処理していた。
「それじゃ、ちょっとの間は魔法の訓練に精を出すか」
「はい。あなた様♪」
「頑張ります。旦那様♪」
こういう訓練は1人でやった方が集中は出来るかもしれないが『集中出来る=効率的』とは限らない。
実際、俺は実家で1人寂しく訓練していた時よりもソフィアに教え始めた時の方が訓練効率は良かった。
そこにどんな動機があろうとも『やる気』が上がる方が大事って事だ。
「マスター。訓練に時間を費やすというのなら1つ相談があります」
「ん?」
そうして俺とソフィアとオリヴィアの3人で魔法の訓練をしていると珍しく輝夜が『おねだり』するような視線で俺に話し掛けてきた。
「実は『ドールズ』の強化案についてなのですが…」
「ふむ?」
「剣術などの近接戦闘はオリヴィア様に訓練していただく事で一同異論はないのですが『
「改良…ああ、命中補正の話か?」
「はい。流石マスターです。既に想定済みでしたか」
というか『マシンナリー・ドールズ』達の使う『プラズマ・ブラスター』は勿論だが、俺の使う『アトミック・ブラスター』の方も命中補正が欲しいと思っていたところだ。
俺の方はソフィアの水魔法で作り出せる『望遠鏡』によってある程度は遠距離狙撃が可能だが『遠くを見る』事と『遠くの目標に当てる』事は全くの別物だ。
「照準機。しかも望遠機能があって自動でロックオンしてくれる機能も欲しいな」
「『
「…お前らってそういう名前考えるの好きな」
まぁ、でも実際の話この機能を輝夜達――『ドールズ』に搭載する事はそんなに難しくない。
輝夜達が自律可動する為の部分――思考して身体を動かしているのは『竜族の魂』が収められた高級魔法石だ。
それに増設用の式紙を『連動』させて『望遠』と『自動照準』を付けてやれば完成だ。
1人1人に『
その装備を『マシンナリー・ドールズ』に配布して数日後。
「『
「『
「……」
様子を見に行った『マシンナリー・ドールズ』達の住む屋敷は厨二病の巣窟になっていた。
必要な時だけ装備すれば良い『
「…楽しそうですね」
「俺は…俺はこんなつもりで新装備を配布した訳じゃないんだ」
俺が厨二病の元凶みたいになってしまって少し涙目になってしまった。
★
『ドールズ』達の奇行(?)は兎も角、俺達は必要以上のトラブルに見舞われる事なく日常を謳歌する。
まぁ偶にオリヴィアが魔法の制御をミスって風を暴発させて部屋の中を滅茶苦茶にしたり、輝夜が力加減を誤って皿を数十枚粉砕したりしたけれど――まぁ誤差の範囲だ。
そんな日常の中で俺はソフィアとオリヴィア、更に輝夜を連れて街に買い物に来ていた。
買い物の目的はオリヴィアの服を買う事。
天翼種である彼女は普通の服を着る事は出来ないのだが、その辺を相談してみたら翼の邪魔にならないようにデザインを改良出来る服屋があるというのでデート気分で出向いてみた訳だ。
で。現在はオリヴィアの服をソフィアが一緒に選んでいる最中。
この2人は俺さえ絡まなければ結構仲が良いのでオリヴィアの服はソフィアに任せて俺と輝夜は気に入った服を選び終わるまで待機だ。
「…退屈だな」
「…そうですね」
輝夜と2人でベンチに腰掛けて欠伸を噛み殺す。
正直、女とデートで服を一緒に選ぶ――とかなら問題ないのだが、女の買い物を唯待っているだけというのは至極退屈だ。
仕方ないので輝夜を連れて適当に店の中を歩き回る。
当然、売っているのは全て女の服なので俺1人ではどうしようもない訳だが…。
「お」
店の一角に大量に飾られたリボンを発見する。
「ふむ」
そのリボンの山と輝夜を交互に見て、その上で『青いリボン』を選択した。
「マスター?」
「ちょっとここに座れ」
「は、はい」
困惑気味の輝夜を座らせて近くに飾ってあった櫛を取って輝夜の青みの掛かった白い髪を梳かしていく。
櫛がスッと抜けるような滑らかな感触が気持ち良い。
そうして髪を整えてから輝夜の髪に青いリボンを結びつけた。
「うん。可愛いじゃないか」
「あ、ありがとう…ございます…♡」
戸惑いながらも嬉しそうな輝夜も悪くない。
「で。どうする?」
「はい?」
「このリボンは輝夜にプレゼントするが…このリボンだけで良いと思うか?」
「……」
『マシンナリー・ドールズ』達は『念話』で意識を共有しているとはいえ、それぞれに個性がある。
俺が輝夜にリボンを買い与えたら直ぐにでも他の177人にバレるだろうし、輝夜が統率主体とはいえ特別扱いが過ぎる。
「それを分かっていても特別扱いして欲しいか?」
「して…欲しいです」
それでも尚、輝夜は『YES』と答えた。
「お前は可愛いやつだなぁ」
「…恐縮です♡」
俺が輝夜の頭を撫でると嬉しそうに目を細めて笑う。
「まぁ、それでもリボンは買うんだけどな」
「…そうですよね」
俺がその一角にある全てのリボン――300を越えるリボンを全て買い占める事を店員に伝えると輝夜は少しガッカリした顔をしながら、それでも何処かほっとしていた。
「だから…」
だからこそ――言い訳を用意してやる。
「『これ』は特別だからな」
「あ」
俺がリボンとは別に輝夜にそっと手渡した物――輝夜の髪を梳かしていた櫛。
藍色のシンプルなデザインの櫛だが三日月の模様がワンポントになっていて、それなりにお洒落な一品だった。
それを輝夜だけの為にプレゼントしてやる事にした。
「一生…大事に…します。宝物に…致しますから」
その櫛を本当に大事な物のように――壊れ物を受け取るかのように慎重な手付きで俺から受け取る輝夜。
受け取ってから大事に大事に、その胸に抱き締めて…。
「ありがとうございます♡」
心から微笑んだ。
俺が見た輝夜の表情の中で1番の輝く笑顔だった。
300以上のリボンの会計を済ませてから『魔法の鞄』の中に収納する。
「(これ…『ドールズ』達にプレゼントする時は俺が1人1人選んで付けてやる必要がありそうだなぁ)」
輝夜を相当特別扱いしてしまったし、そのくらいのサービスは必要だろう。
そんな事を思いながらソフィアとオリヴィアの元へと戻ると…。
「あなた様っ。これはどうでしょうか?」
「おわっ」
俺に抱きつくような勢いでオリヴィアが一着のワンピースを持って見せに来た。
「え~と…」
それはオリヴィアに似合いそうな白いワンピースだった訳だけれど…。
「旦那様っ。こちらの方が良くありませんか?」
対するソフィアが提示してきたのは水色のワンピースだった。
「おうふ」
ここで『どっちも似合うよ』とか『両方買おう』とか言ってしまうのはダメダメだった。
結果的に2つとも買う事になるだろうけれど、その過程を上手くやらないと女というのは機嫌を損ねる。
「とりあえず…合わせて見せてくれよ」
「あ、はい♡」
俺の要求を呑んで素直に持っていた白いワンピースを身体に合わせてみせるオリヴィア。
「うん。純白の翼を持つオリヴィアには白が似合うね。良いセンスだよ」
「は、はい♡」
ポッと頬を染めるオリヴィアから白いワンピースを受け取って、次いでソフィアの持つ水色のワンピースを渡して合わせて貰う。
「うん。天翼種のオリヴィアには空をイメージする水色が映えるね。素晴らしい選択だ」
「そ、そうですよね♡」
ソフィアの方もポッと頬を染めて水色を選んだ理由を理解されて嬉しそうだ。
それから――まぁ口八丁で話題を逸らしつつ、2人の選んだ服を両方オリヴィアが着れるように改造して貰う事になった。
「ほっ」
「お疲れ様です。マスター」
「ありがと。やっぱデートは2人きりの方が楽しいと思うね」
「…それなら今度私がお供致します♡」
輝夜までポッと頬を染めて嬉しそうだった。
★
後日。
オリヴィアの為に改造されて届けられた服は早速オリヴィアによって試着されていた。
「~♪」
今世では布を巻きつけるような天翼種独特の服以外を身に付けるのは初めてなのか、オリヴィアは鏡の前をご機嫌で行ったり来たりしている。
殆どの服は背中をざっくりカットされていて人間種が着れば扇情的に見える物でも天翼種のオリヴィアが着れば翼を通す為の穴という事になる。
勿論、俺にも何度も服の感想を聞かれて、その度に『似合っているよ』とか『可愛いよ』とか言う羽目になって少し食傷気味だ。
その被害はソフィアや輝夜にも及んで、流石の彼女達もゲンナリして2人で夕食の買出しに出掛けてしまった。
という訳で現在自宅に居るのは俺とオリヴィアだけなのだが…。
「あなた様」
「ん?」
「あなた様のお好きな色は前世から変わっていませんか?」
「好きな色?」
「はい」
好きな色――と言われても直ぐにはピンと来ない。
敢えて言うなら赤よりも青の方が好きかなぁ~という程度だが。
「わたくしは…覚えております。前世であなた様が仰ったお好きな…色を」
「あ」
妙に神妙な顔をしたオリヴィアが俺の目の前で、白いワンピースのスカートの部分を両手で摘んでゆっくりと――本当にゆっくりと捲り上げていく。
「……」
吸い付いたように視線が離せなかった。
顕になるオリヴィアの白い素足。
見えていた足首から徐々に、徐々に細いふくらはぎが露出して――ゆっくり、ゆっくりと扇情的なふとももが見えてくる。
「ハァハァ…あなた様ぁ♡」
その俺の視線を感じているのかオリヴィアは息を荒げて羞恥に顔を真っ赤にしながら、それでもスカートをゆっくり捲るのをやめない。
「あ」
そこで――ついにオリヴィアがワンピースの中に身に付けていた『それ』が見えてきた事で、前世で俺が言った『言葉』を思い出した。
『女の子が身に付けるなら『ピンク』も悪くないと思うよ』
まぁ、その後に『扇情的な物が良い』とか『下品なのは嫌だ』とか言葉が続いた気がするが、その全てをクリアするような『合格ライン』を理解したオリヴィアが俺の目に晒しているのはピンク色の両サイドをリボン結びで縛るタイプの下着――所謂1つの『ヒモパン』だった。
扇情的なのに決して下品にならない程度の布面積を確保した『清楚で可愛らしく見える上にエッチな下着』という奇跡のバランスだ。
「ああ…見られています♡わたくしを…あなた様に凄く強い視線で…見られています♡」
そりゃ見るだろう。
天翼種の美少女が白いワンピースを自分で捲りあげてピンクのヒモパンを晒して羞恥に頬を染めているのだから。
「あ、あの…」
「…え?」
余りの光景に流石の俺も思考が鈍くなってオリヴィアに声を掛けられても即座に返事が出来なかった。
「そ、その…もし、よろしければ…」
「?」
「紐を…ほどき…ますか?」
「っ!」
それは明確な『誘惑』だった。
普段から俺を誘惑する事が多いオリヴィアだが『治療』が不完全な事やソフィアの妨害によって未完で終わっていた。
それが今――邪魔をする者は誰も居ない。
「あっ♡」
そして俺を止める者も誰も居なかった。
★
「はぁ…。はぁ…。はぁ…」
邪魔な翼を毛布の中に無理矢理押し込めてオリヴィアがベッドで横になって苦しげに息を乱していた。
「無茶を…しましたね」
「ああ」
オリヴィアは現在40℃近い高熱に襲われ、更に身体が極端に衰弱して――死に掛けていた。
こうなる事は分かっていたのだ。
俺がオリヴィアに今まで手を出してこなかった最大の理由が『これ』だ。
精霊王によって無理矢理強化されたオリヴィアの身体は普段の調子からは考えられないほどに――悪い。
その『治療』の為に俺の『火の最上級回復魔法』やソフィアの『魔法薬』が使われている訳で、その『治療中』に『処女喪失』という身体の質を変えてしまう行為は治療効果を一気に逆転させてオリヴィアに襲い掛かる。
俺がオリヴィアを抱けば『こうなる』事は分かっていたのだ。
俺は分かっていたし、オリヴィア自身にもちゃんと説明はしてあったのだけれど…。
「それでも…多分オリヴィアは『後悔していない』と答えるだろうな」
例え何度やり直す事が出来たとしても、それでもオリヴィアは俺を誘惑するチャンスを見逃さなかっただろう。
「旦那様と結ばれる事が出来れば死んでも良い…という事でしょうか?」
「そんな殊勝な奴に見えるか?」
オリヴィアが死ぬかもしれないというリスクを無視して俺を誘惑した理由はもっと単純で――自分勝手なものだった。
「きっと自信があったんだろう」
「自信…ですか?こうなっても死なない自信があるという事でしょうか?」
「いや…」
オリヴィアが持っていた『自信』は、もっと『酷い自信』だ。
「こうなっても『俺が絶対に助けてくれる』って『自信』があったのさ」
「……」
それは『自信』というには余りにも身勝手な話だが、それは逆に言うと俺に依存して、俺を無条件に信じている女でなければ出来ない行動だった。
伊達に俺と前世で9年以上付き合ってきた訳ではないという事だ。
ソフィアは当然のように面白くなさそうにしていたが、それでもオリヴィアを死なせる事には抵抗があるようで仕方なくという感じでオリヴィアの看病に協力してくれた。
こういう場合、オリヴィアを何とかする為の薬を用意する――というのがセオリーかもしれないが、俺の場合それは必要ない。
薬でどうこうなる訳ではない――というのではなく薬は既に用意されているからだ。
ベッドでソフィアのご機嫌を取って時間を掛けて説得して作って貰った『事前に作っておいたオリヴィア用の特効薬』が。
「……」
まぁ、つまり――俺自身もオリヴィアが完治する前に手を出してしまう事は分かっていたのだ。
オリヴィアに『刺される前』なら兎も角『刺された後』では既にオリヴィアを受け入れる覚悟は出来ているのだから時間の問題だと思っていた。
だからオリヴィアに手を出した後の事を考えて薬は既に用意してあった。
「はぁ…。はぁ…。はぁ…」
但し、薬を用いても生存確率が上がるというだけで少なくとも数日は高熱と衰弱で死に掛けた状態と戦わなくてはならない。
俺はその為に『寝ずに看病』する必要がある。
オリヴィアの為にベッドの翼の負担になる部分を魔法で切り裂いて翼への負担を減らし、オリヴィアの為に額の濡れタオルを数分おきに交換して、オリヴィアが寂しがらないように必要なら頭を撫でて、オリヴィアの傍に俺が居る事を意識させる為に手を握っておく。
「はぁ…。はぁ…。はぁ…♡」
高熱で意識が朦朧としている筈なのに、それでも苦しげに息を荒げながら――口元に笑みを浮かべるオリヴィア。
俺に抱かれた事。
それに今、俺を独占している事実が嬉しくて溜まらないのだろう。
本当。前世の頃から『こういうところ』は全く変わっていない。
前世の頃から『俺を独占する為には己を犠牲にする事も厭わない女』だったのだ。
「…無茶するなよ」
だから放っておけないし目を離せない奴なのだ。
★
オリヴィアが死に掛けの状態から脱するまで5日掛かった。
その間、殆ど不眠不休でオリヴィアの看病をした俺は少し安心するのと同時に――ぶっ倒れて意識を失った。
次に目覚めた時、俺は――温かいものに包まれていた。
「……」
具体的に言うと俺はお風呂の湯船の中で目覚めた。
「お目覚めですか?旦那様」
「…ソフィア?」
そして湯船で俺の身体を支えていたのはソフィアで、当然のように裸で俺の後ろから抱きついていた。
物凄く心地良い環境の中で…。
「私…怒っていますからね」
ソフィアさんはお怒りのようだった。
「オリヴィアさんに手を出した事も、そのオリヴィアさんの看病の為に無理をした事も、私…怒っているんですからね」
「…うん」
オリヴィアの我侭を聞く為に無茶をしたという自覚はあった。
「でも…それ以上に心配でした」
「……」
「旦那様を取られてしまうかもしれないという不安と…旦那様がオリヴィアさんの看病で無茶をしている姿を見ているのは…凄く不安でした」
言葉を続けながらソフィアは5日もオリヴィアの看病で風呂にも入れなかった俺の身体を洗ってくれる。
「だから…私の不安を消してください」
「……」
「旦那様は私の旦那様で…私が必要なんだって…安心させてください」
「ふむ」
とりあえず手足を動かして問題なく身体が動く事を確認する。
それから――ソフィアを風呂場の中で押し倒した。
「んぅっ♡」
勿論、最初は愛のあるキスから始める事にした。
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