第56話 好景気でも値下がる

好景気で株を買えずに数か月たったが、その中で値下がる銘柄が現れた。

エネオスのガソリンスタンドで有名なJXホールディングスだ。


全世界で原油安が起きた。

その影響で石油元売り会社のJXホールディングスは営業赤字を出す見通しとなってしまい株価が下落した。

450円くらいが相場と思っていたが、株価は425円にまで下がってしまったのだ。

絶好のチャンスに思えた。

石油は当分は絶対必要な物である。車はまだガソリンでたくさん走っている。ライバル会社がいたとしても業界大手でまず倒産することはない。

今は原油安の影響で赤字となってしまっているが、安く買えるようになるということは少し待てば業績の急回復に繋がるはずだと。


当時、知人にも「95%の確率で儲かる銘柄がある」と断言してみた。

数万円くらいの利益でいいのであれば数週間で得ることができると。

ただ値上がる自信はあったのだが、見込みでは値上がり幅が100円くらいと少ないのが弱点ではあった。

どうしても一気に千円くらい値上がる銘柄はないものかと欲張りたい気持ちを持ってしまうが、不安な会社の株を買うというのは投資とは言えないように思う。


口座には100万円程が預けられたままになっていた。

私は435円のときに1000株を購入した。

一気に100万円分買わなかったのは、もう少し下がって400円を切ったときに更に買い増すために取っておいたからだ。


買って一週間後には、案の定株価は値上がりを開始した。

あとは売る金額をいくらにするかだ。

550円にしたいところであるが、そこは少し難しそうだ。

500円以上にはほぼなるであろう。だからその間にすることにしよう。

ということで10万円儲けることを目指して535円にした。


指値注文指定して3週間程放置を続けた。

さすがに3週間で535円にはいかないが、さらに3週間と伸ばしていくことで、4か月後には目論見通り535円まで上昇した。

ここでも1000株の内、900株の売却を行った。


『535円―435円×900株』と、絶対儲かると思ったとおり9万円の利益が出た。

100株残したのは、435円を下まわった時に保有一覧を見たらすぐ分かることと、やはり株主になっていたいことがあったからだ。


この買い方は結構良いと思っている。

自信があるんだったら最初からJXホールディングスを100万円分買っておけば20万円くらい儲かったのにと思ったことだろう。

確かにこれくらいの大企業だったらそれが良かったと後悔はある。

でもこれが通用するような大企業で、お得な株価になることはあまりない。中小企業の場合も多いので、資金の半分くらいを残すというやり方が無難だ。

100万円あるとすれば50万円分買ってみる。

そこからプラスに転じて10万円儲かった。これが理想的な展開である。

しかし値下がってしまった場合、残りの50万円を使って買い増すことができる。

値下がっているので最初に買った株数よりも多く買えるので、ナンピン買いにより復活しやすい。


これが基本的な損をしない買い方だと思っている。この本のテーマ『1円も損しない方法』の核心部分だ。

今まで個別の会社ごとに買ってきた様子を紹介してきたが、ここでまとめてみる。



① 株を購入。

② 値上がったら売却。 → 儲かる。

③ 値下がったら買い増して取得単価を下げる。

④ 取得単価より値上がったら売却。 → 儲かる。



これで株が値上がっても値下がっても、どっちに転んでも儲かることとなる。

理想論と言われそうだが、実際私はそうしているし、欲張って危険な銘柄を選ばない限りは、これの繰り返しで損をせず利益を得ることができるはずだ。

そして今回のJXホールディングスのように、大企業でお買い得な銘柄と出会えたときは、①番のところをちょっと多めに買うというやり方をすればいいのだ。

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