第50話 50万円儲けた

株の売買で大金を手に入れたことがある。

大金といっても50万円であるが。

本格的に株の売買をやっている人からみたら大した金額ではないだろうが、庶民のお小遣いとしてこれだけの金額が得られればかなり嬉しい臨時ボーナスとなるはずだ。


こうして儲けるためには条件がある。

多少売上が悪くても簡単には潰れない大企業を選ぶことだ。

当たり前のように思うかもしれないが、株をやり続けていると欲がどうしても出て思考が麻痺してくるので、中小企業でもいいのではないかと思えてくる。

そのために重要なポイントとして肝に銘じておく必要がある。


何社か大企業の株を持っている中で全日空が当てはまった。

株を複数銘柄保有していく中では、値下がり続けていくものがある。

全日空もそうであった。

194円で1000株購入したが、そこから値下がっていった。

毎日のように株価の動きをチェックしていたが180円代をうろうろしていた。

ここで勝負をかけてみることにした。一気に100万円をかけ、187円で5000株を購入してみたのだ。

お小遣いの範囲内ということでやっている私は、約200万円の予算の中で投資を行っている。半分を一社に託した格好だ。

こんな勝負をかけられるのも先程の大企業というのが大きい。

飛行機墜落事故が起きない限りは潰れることはないだろうという安心感があったので。

大企業の中には売上が少ないだけで、その他の大きな理由がなく株価が低くなることがまれにある。

今回の全日空の他にも何社かあったが、内容としては重複するので、ここは全日空に絞って話をしていく。


大量購入をする時期は、買った株が下がりきって低空飛行を続けた時である。

この低空飛行を続けるまでは買わない我慢が必要だ。

どのくらい下がったときがいいかというと、保有株を売ることもできず塩漬けにするしかないという状況がベストだと思っている。

値下がりしすぎて浮上もほとんどしない「もうこの株は諦めた」と自然と思えてしまう時が。


大量購入することで取得単価も大幅に下がり、損失もほぼチャラとなる。

あとはいつか値上がりするまで待つだけだ。

ここでこのやり方は少し回りくどく感じる人もいるかもしれない。

最初から最安値になった銘柄を大量買いすればいいだけだと。

もちろんそれが理想であるので、それを求めて最安値になっていないか毎日株価をチェックする銘柄もある。


今回のやり方は現実に即したものである。

保有している株の方が、パソコンの一覧画面でマイナスの金額が表示される為、チャンス到来の瞬間を見極めやすいという利点があるように思っている。

それに絶対購入額より下がる期間はあるものなので、その下がってしまった株の対処方法として悪くない方法である。


結果として全日空が値上がりするまで1年半かかった。

でもその間配当金は一株当たり3円だったので1万8千円もらえていたし、株主優待の運賃半額券も年間10枚もらえた。

この半額券は金券ショップで買い取ってくれるので3万円に換金され、株価が値上がっても売るのがもったいなく感じた程だ。

そして290円まで値上がりしたときに1000株だけ残して、5000株を全部売却した。

こうして1株100円の差額利益が5000株あったので50万円儲けることとなった。


ちなみに1000株残したのは大した考えがあってのことではない。

290円の株価の現在、190円の取得単価で保有できていることはお得であるし、また値下がったときにマイナス表示となるので買うタイミングが分かりやすい。

それよりも一番の大きな理由として、全日空が好きというのもある。全部売却して縁が切れてしまうのは少し寂しいのであった。


いろいろな投資先がある中で株を選ぶ理由は、単なるお金のやりとりだけではない、この嬉しさみたいなものが根底にあると思う。

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