第43話 民事再生法適用会社
スカイマークは格安航空会社として一世風靡した会社だと認識している。
ここの売買は損失0円を目指している私としては一番危なかった。
それは民事再生法の申請が行われたからである。
そんなこととはつゆ知らず、その数か月前まで株の売買をしていたところなので「ちょーあぶねー」が正直な感想だった。
民事再生法の詳しいことはよく分からないが、会社は残るけど一度破産をするイメージを持った。
スカイマークは前々から700億近くの損害賠償金を請求される可能性があるという情報があり、良い噂と悪い噂が混在していた。
そして業績悪化により、ついに民事再生手続きを発表したのだ。
これにより上場廃止も1か月後に決まり、317円あった株価が3日後には19円と大暴落してしまった。
私はそれが起きる前までに手放していたので被害は受けなかったが、株の怖さを再認識した出来事であった。
ここで素人投資家の私には、ふとある考えが浮かんでくる。
もし株価が1円とかの激安になってしまえば、買ってみるのも良いのではないだろうかと。
民事再生法が適用されても会社は存続して事業を続ける。
上場廃止で売り買いできないだけで、株主であることに変わりはないので、いつか再上場とかになればまた株価が300円近くになるのではないかと。
1円で1万株を買って、それが数年後にでも300円になれば300万円儲かる。
悪くない計算であったが、みんなが思いつくようなことはそうならない現実があった。
ネットで調べてみると同じようなことを質問している人がいた。
それについての回答が「100%減資になるだろうからリスクが大きい」というものであった。
なんだ100%減資って? 初めて聞いた言葉である。
この言葉を調べてみると、株を全部消却することとあった。
つまり強制的に株主をはく奪されてしまうのである。そして新しい株を発行して新たに資金を集めるというものらしい。
旧株主は抹消。新株主は再上場したときに儲けが出るということだそうだ。
やはりそう簡単に儲かるわけがない。
ここで1か月後の上場廃止を控えて不思議なことがおきた。
このまま連日下落が続いて、数日後に1円となるだろうと思っていたら、実際はそうはならなかった。
19円だった株価が30円に跳ね上がり、そこからまた下がったり上がったりと乱高下を繰り返したのである。
どうしてこんなことが起きたのかというと、どうもみんながマネーゲームをやりだしたかららしい。
仮に上場廃止がなくなったという情報がでれば株価は回復するだろう。これは噂が立つだけでも十分な効果が見込める。
そういったことを期待して一気に跳ね上がることを待つためだ。
本当に株の取引はお金をチップとした心理戦であると思えた。誰かの得は、誰かの損だ。
でもこれは取引としての見方である。
株が持つ本質は、応援したい企業に支援をするというものだ。
この本質を忘れると、単なるお金儲けの道具としてしか見られないようになり、応援したくもない企業の株を欲だけで買って損をするという結果があるような気がする。
たとえ損をしたとしても、この企業の株を買って良かったと思えるようにしたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます