第41話 無名の大企業
いつものようにパソコンで『年初来安値更新』を見ていると、一覧の中に『新田ゼラチン』と表示されていた。
無知な私には知らない会社であったが東証1部ということで大きな会社だと思われる。
最初に企業情報を確認すると『ゼラチンで日本一、世界4位』と書かれていた。
業界1位という安心感は大きい。
ただ株価が750円と表示されているのだが、それが安いのかどうかが分からない。
チャートで過去2年間の値動きを見てみたら、1000円くらいから徐々に値上がり始め、最高で1700円くらいになったところから、だんだんと値下がって現在の750円になっていた。
当たり前であるが、株は一番安いときに買って一番高いときに売るというのが理想である。
だから単純に安くなるまで待つことにしている。
この新田ゼラチンの750円は最安値といえるので、買ってもよい銘柄だと思えたが、まったく知らない会社ということでまだ不安を感じる。
最安値になった理由も世の中の動向をつぶさに勉強しているわけではないから分からない。
財務状況のページをクリックしてみると、純利益が半減しているからそれが値下がっている原因と思えた。
ただ半減といってもちゃんと黒字を出しているから問題はなさそうだ。
黒字。大手。安い。食品で需要がある。あとホームページを調べてみたら社員募集もしっかりしている。
購入してよい材料がそろったので、750円に指値を設定して500株を購入した。
100株単位で購入できる銘柄であったが、5倍の500株にしたのは株主優待で良い商品をもらえるのが500株だからというところと、あとは業界1位の大手という安心材料からであった。
しかしその後どんどん下降を続けて最安値は701円にまで下がっていった。
安値更新の怖さはここにある。
何かしらの理由があって値下がっているわけだから、最安値で買ってもさらに値下がり続けていくことになる。
今回も見事にそうなっているわけだが、これはほとんどの場合で起きることだ。
長い目で見た場合、大抵最安値の範囲内に収まっていることが多いので焦る気持ちは厳禁である。
ただやはり多少失敗したという思いは持ってしまう。
それでも大手だから大丈夫だろうと楽観的にも思えたし、値上がらなくても株主優待で杏仁豆腐の素とかもらえるみたいだから、ずっと持っていてもいいと思った。
更なる安心材料として株主優待の権利確定日が3月なので、3月になれば値上がっていくだろうという思惑もあった。
そう思ってはいても、どんどん値下がっていく状況に多少の焦りはある。
失敗の銘柄だったのかという後悔も出てくる。
理想としては900円までの値上がりを期待したいところであったが、早めに手放した方が得策だと考え800円の売値で注文を出しておいた。
数か月はなかなか思うように伸びていかなかったが、3月間近の2月に売買が成立してやっと800円で売れた。
これで『800円-750円×500株』で、2万5千円儲けることができた。
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