「おくるもの」が一番好き。彼女は私には青い鳥に思えた。一度はどこかへ消えてしまって、電灯はそれを捕まえることはできない。それでも彼女を待ち続けている。それは幸せを知っている人間のようにも思えた。たしか青い鳥は裏庭にいたはずだが、それを見つけるのは難しい。身の程をわきまえるその姿、その一途さに、高校の夕焼けに染まった教室に吹き込む心地よい風のようなものを感じた。本来の恋や愛というものは、こういう清々しいものだったはずだろうと思う。