第22話 甘ったれ
ミィが甘ったれになった。
ご飯を食べる時に「撫でて」と要求してくるようになったのである。
元々子猫の頃からご飯を食べている時に撫でてやることはよくあった。そのため、うちのミィは食事中でも撫でられることを嫌がらないという、ある意味野生とは程遠い性格ではあった。
しかし、これまでは自分から撫でることを要求してくることはなかった。それがこの冬の終わりごろから突然始まったのである。
きっかけは不明。普段と異なることとなると地震があったようにも思うが、ミィがうちの子になってから同程度やそれ以上の揺れが何度かあったので、原因と断定するにはちと弱い。
ワンちゃんネコちゃん共通の定番ホラーである、何もない――はず!――虚空を見つめる仕草も以前から行っていたので、うちに何かが取り憑いたという事でもないと思われる。……ないよね?
……ともかく、突如始まったそれは数カ月経った今も続いている。
しかも「撫でて」要求、よそ見をしたりして撫で方が少しでも雑になると「心がこもっていない!」と言わんばかりにやり直しをさせられてしまうのである。
あ、なんだか甘ったれというか、我が儘娘になっている気もしてきた。
ちなみに猫の食事時間は不定期であり、日によっては頻繁に呼びつけられることもあったりするのだった。
こんな甘々なミィだが、相変わらず抱かれるのは嫌いというか苦手なままのようである。
束縛される感じが嫌なのか、私の部屋のある二階へと連れて上がる数十秒ですら耐えかねる始末だ。ほとんど毎回、階段を登り切る頃には「はーなーしーてー」と体をよじよじし始めるのだ。
しかし、狭い場所が好きという猫特有の性質は持ち合わせているようで、宅配で届いた荷物を開けて中身を取り出していると、いつの間にか空いた段ボール箱の中に潜り込んでいたりする。
そういえば、これも甘ったれといえるかもしれない。実はミィ、段ボール箱は動くものだと思っているようなのだ。
ええ、まあ、原因は私ら家族なんですけどね。
小さな子どもをあやすように、箱ごとミィをゆーらゆーらと揺らしたり、床をバビュンと滑らせたりしていたのである。
そんな訳で、ミィは空き箱を見つけると中に入っては「動かして」とこちらを見つめてくるのであった。
と、これを書いている今もリアルタイムでミィがミャウミャウと甘えた声で鳴き始めてしまった。
今度は一体何の要求なのだろうか?
あー、はいはい!そんなに鳴かなくても聞こえているってば!
ただいま参りますよ、ミィお嬢様!!
うちのミィの話 京高 @kyo-takashi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。うちのミィの話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます