驚くべきと言われる程むしろ単純な掌編
誰でも続けられることがあった。続けられなければ生きていけないことは、生きているもの皆がすることだった。吸って、吐いて、吸って、入って、飲み込んで、出して、吸って、吐いて、昏倒して、新しい意識で、気絶して、目覚め、吸って吐く。誰がこの馬鹿馬鹿しいことをやめたくなったとしたら、亡骸となってしまい、頭の中のことを言えば人は笑う。この世の関係はほとんど、決死の思いで崖から飛んだ君を誰かが見逃して、もしくは打ち落として、適当に哀れんだり、笑ったりしながら、劇を観て、感動したりするという事実の叱咤だ。叱咤されるのだ。僕らはなにひとつ残らず生と死の暴力を神から授かってしまった。パンと水を飲んで、清潔な体ひとつで生きていくのが辛いから、なんだって開発してしまおう。それですべて解決さ。それですべて解決であるから。
『蒸気の形』 志木冬 @sikitou
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