第2話

人気の無い暗闇に三人の不審で不気味な男達。


男達が取り囲んでいるのは、童顔で眼鏡をかけ、少し長めの黒髪をひとつに束ねた可愛い女の子。


の、ような学ランを着た男子中学生。


その少年は間一髪で男の振り上げたナイフを交わした。

ナイフは少年の背にある硬いコンクリートに突き立てられている。





「あぶね。あと一瞬遅かったら、この可愛い顔が台無しだったな」



少年は顔を上げるとニヤリと男を見て笑う。

頬には赤い血のあと。

男のナイフがかすったんだろう。




「お前ら全員葬ってやる。あの世にな」





少年がそう言った時だった。



「ヤれるものならヤってみろ」




横からもう一人の男が鉄パイプを振り上げ襲ってきた。




「おおっと」



少年はその小柄な体を生かしてコンクリートの壁と男の間からするりと逃れる。

すると鉄パイプの男は間抜けにもナイフの男を殴打した。


グアアアアと男の呻き声が狭い路地に響く。




「ざまぁ無いな」




クスリと少年は笑うと、邪魔だとばかりに眼鏡をハズしそこら辺に投げ捨てる。

その背後でもう一人の男がゆっくり近付き少年の髪を鷲掴みにした。



「よくもヤってくれたな、コンドこそっ」



「今度こそなんだ?」



「グウッアッアッ」


後ろから髪を鷲掴みする男の腹を貫く銀色の剣。


「酷いじゃないか。可愛らしい女の子の髪になんて事するんだ」


「キッサマアアッ」



少年はその剣を引き抜いた。




すると男はストンと力を失い。

その場に崩れ落ちる。




「さぁ次はお前達だ」




少年の黒髪は先程の男のせいでほどけ、ザワザワと揺らめく。

本来なら真ん丸の可愛らしい瞳も、今はつり上がり鋭く男達を射ぬいている。

その姿に先程のか弱く可愛らしい面影は微塵も感じられない。




「キサマはなんだ」


「キサマもオレタチとオナジじゃないのか?」





「私が?違うな」






ドン!





「グア!」「ギギャア!」





目にも止まらぬ速さで二人の男は十字に切りつけられた。






「お前達は神に見捨てられ、私は神に見捨てられやしなかった」







切りつけた男達を背に、少年は銀色に輝く十字架の剣を片手に携えて。






「それが悪霊のお前達と、私の違いだよ」











男達は力なく、冷たい地面へと崩れ落ちた。

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