第1話

その日僕はたまたま遅くなっただけだったんだ。


部活が長引いてそれで暗い夜道を歩いて帰ってた。

それだって、別に珍しい事じゃない。

そんなの今までだって何度かあった事なんだ。




だから、まさかこんな事になるなんて、思ってもみなかった。









「あっあのすみません。僕急いでるので!」


歩きなれた帰り道を家へと急いでいると、三人の見知らぬ男達に絡まれ人気のない路地裏に連れてかれた。

コンクリートの冷たい壁際まで追い詰められ、逃げようにも身動きがとれない。



(なっなんで!)



しかも男達は何処か様子がおかしかった。

目付きや言動が人のようには思えない。

時折野太い声でうめきをあげている。



「なっなんなんですか!あんた達!!」



なるべく大きな声をあげた。

通りに聞こえるよう出来るだけ大きく。

すると一人の男の顔がまるで楽しむように気味悪く歪む。



「シね。オレのカわりにジゴクにオちろ」




そう言うと、男は持っていたナイフを振り上げた。







「だっ誰かああああ!!!」









助けて!!











「お前の体、貸して貰うぞ!!」







そう声が聞こえたと思ったら、何かが物凄い衝撃で僕の体にぶつかった。



その後の事は…


正直何も覚えていない。

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