彼女は3周年がスキ?

「まーくん知ってる? 3周年らしいわよ」

「……なんの?」

「さあ……私もよく分からないのだけれど」

「……? まあ3年って長いようで短い月日ではあるよな」

「中学生なら高校生、高校生なら大学生になるものね」

「前にも言ったけど、年を重ねるとどんどん時間が早くなるよなあ」

「一説では小さい頃に経験することは何でも新しいことだから時間が遅く感じるけれど、大人になると新しい経験を殆どしなくなるから、みたいよ」

「思い出に残っている量が違うってことなのか、確かにダラダラしていると時間ってあっという間に過ぎるもんな」

「でも不思議なのよね」

「?」

「まーくんのことを想っていると時間が経つのがとても早いの、常に新鮮な気持ちで想っているから間違いなく新しい経験な筈なのに……」

「いや……嬉しいですけども……」

「具体的に言えば八十年分の恋は既に終えているわ」

「お前タイムリープしてね」


「ということで今回はまーくんを付け狙うメス共について振り返っていこうのコーナーになります、いえーい」


「ツッコミどころが多すぎる」

「まずは瑞玄ね、まあ私の姉さんであるのだけれど」

「正直苦手なタイプではあるな……お前を前にしてこんなことを言うのもなんだが、感情優先タイプとは上手くやっていける自信がない」

「でもそういう相手が何かをきっかけに完堕ちした時の破壊力って尋常じゃないわよね、ツンデレの至高ってそういう所だと思うの」

「自分の姉をツンデレって評さないでくれます?」


「では次はそうね、虎尾さんはどうかしら?」

「虎尾か……? ううん、何というか今の状況でコメントするのも難しい所はあるんだが……友達だよな、趣味も結構似通った所が多いし」

「容姿とかはどうかしら?」

「え? ……まあ、可愛いよ、喋り方は大分特徴的だけど、それを持って余りある可愛さではあると思う」

「因みに違う世界線では虎尾さんは黒髪ロングに眼鏡との情報もありますが」

「急にどうした」


「じゃあ纐纈さんといきましょうか」

「あいつらは……明音は自分でも見習いたいぐらいしっかりした奴だから尊敬に値する人だよな、雪音は今の時点では悪いけど僕は――」

「でもあれよね、雪音さんみたいなどちらかといえば社会不適合な子と共依存になって堕ちていく様とか、ゾクゾクしない?」

「え、今日はそういう方向性なの」


「後はそうね……入道山さんも捨て置け無いわね」

「ああ、彼女に関しては言葉で表現するのも烏滸がましい存在だからな」

「男の娘は男だという人もいるみたいだけれど、その点に関してはどうかしら」

「まるで分かっていない、男の娘は男の娘という性別なんだよ、何なら心が女の子だと言うのであれば僕は女の子だと思っている」

「つまり……恋愛対象であると言っても過言ではない……と」

「そうだな……一緒に観覧車とか乗りたい……ですね」

「ずるい」


「気を取り直して……龍田さんはいかがかしら?」

「元気で明るいよな、しかも真面目で優しくて、でも何処か抜けているというか……ああいうタイプは男にモテるのは仕方ない気がするよ」

「だからこそ、そういう子が普段見せない表情を見せると心がキュっとなるというか、普段クールな子が好きな人の前だと甘えようとするみたいなのと同等以上の破壊力を生み出すことがあるわよね」

「それは否定出来んな……やっぱりギャップってのはとてつもないと思うよ」

「……私ももっと服とか脱いだ方がいいのかしら」

「ギャップの振り方がはしたない」


「ふむ……こうして考えると沢山いるのね……蒼依もそうだし」

「あの人は――変な所はあるけど、大人の出来るお姉さんってイメージが強いな、実際年上だし、凄く頼りになる人だし」

「でも嫌な顔してパンツ見せて貰いたい人第一位よね」

「自分のメイド何だと思ってるの」


「じゃあええと……妹さん達はどう?」

「逢花と緋浮美は愛すべき妹達ではあるが……あくまでライクだよなそこは」

「でもパンツが落ちてたら?」

「ええ? それは嗅ぐよな」

「よく兄妹の裸を見ても興奮しないという話もあるけれど」

「いやーどうだろ、するよね」

「万が一『お兄ちゃん大好き! 結婚して!』と言われることがあったら?」

「流石にそれは……結婚するしかないんじゃないのか?」

「たわけが」

「えっ?」


「そうしたら……最後は私ね」

「え、お前もか……?」

「それは勿論、私だってまーくんを付け狙うメスの一人だもの」

「その言葉が一番合ってるのは前条ではあるけども」

「どうかしら? 過去を振り返って、私はまーくんにとってどんな存在?」

「そ、それは……」

「――――――あ、待って、やっぱり訊くのは止めておこうかしら……」

「いや、待ってくれ、ちゃんと言うよ、前条だけ言わないのはおかしいからな」

「で、でも……」


「えーとだな、ちょっと狡い言い方かもしれないが――もし……誰か一人と添い遂げないといけない日が来たら、僕は迷わず前条を、いや朱雀を選ぶよ」


「!!!」

「な、何ていうかさ……僕が前条と一緒にいた時間っていうのはそういうことなんじゃないのか、だって他にいないだろ、その――……前条?」

「はあ……凄い、心臓に負荷が掛かり過ぎて鼻血が出てしまったわ」

「いや、マジで出てんじゃねえか……おい大丈夫か? 今ハンカチを――」

「いえ駄目よ、こんな言葉を貰って私も黙っている訳にはいかないわ」

「は? 何を言って――」


「私も、誰か一人と添い遂げないといけない――いえ、添い遂げなくても良いのだとしても、迷わずまーくんを選ぶわ――好きよ、大好き」


「……そんなこと、鼻血出しながら言っても様にならねえよ」

「でも、この方が説得力があると思わない?」

「参ったな……とんでもない奴に付け狙われたもんだ、僕も」


「ふふっ、これからも宜しくね、まーくん」

「ああ、こちらこそだよ」

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