善知鳥峠

作者 冬石

2

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Good!

主人公は宇宙人にさらわれた地球人。物語は、宇宙船が事故に遭い、捕獲者とたったふたりで別宇宙に取り残されてしまった、という場面から始まります。捕獲者であるところの宇宙人は奇妙な主張をするのですが……。
日本昔ばなしの『善知鳥(うとう)峠』を下敷きにした作品のようです。『善知鳥峠』とSFを融合させようという試みもエッジが効いていますが、何より本作の特徴は文体です。小説というよりは散文詩とでもいうような、滑らかな独白調です。その文体でもってとても重大なテーマを提示しているように思えて、しかしその実体はつかめない、なんとも歯がゆいような不思議な魅力があります。雰囲気は幻惑的ですが、題名、宇宙人の言語等々、緻密に設定されていると思います。
しっとりした物語ですが、“私はしかたがなく「ウトゥーウトゥー」と言い、、両腕を広げ適当にばたばたとする。”などというところはユーモアもあって好きです。文章をさらに精査すると、いっそう優れた作品になるのではと感じました。

Good!

宇宙人に人身売買される地球人たち。その中の一人だった主人公は乗せられた宇宙船の事故で、地球人として唯一生き残った。

共に乗っていた宇宙人たちも、一人しか生き残らなかった。

急に態度を軟化させた彼に主人公は憤る。宇宙人たちは相手の心を読めるため、意思疎通には困らなかった。

やがて宇宙人たちが救出のためにやって来るのだが、彼らは主人公を仲間だと言う。

そして、逆らう気にもなれなかった主人公はーー。

最後まで読んで再びタイトルを見るとその文字一つ一つが何を示しているか分かるようになっています。

峠の意味とか、なるほど、とにんまりするでしょう。