誰か俺の妹の暴走を止めてくれ。

あゆミント

第1話 ヤツの話



ある所に共働きで家に全然帰ってこない両親を持つ少年がいたとしよう。

それは、少年の9回目の誕生日の日だった______…


「いつも寂しい思いをさせてごめんな。今日は誕生日だろう?プレゼントがあるんだ。」

そう言った父が持ってきた…否、"連れてきた"のは、可愛らしい女の子だった。

「ほら、あなたはいつも家で独りきりで寂しいだろうと思って、可愛い妹があなたへのプレゼントよ。」

サラッとすごいことを言い出した両親は笑顔で俺に"嬉しいだろう?"という顔をするのだ。なかなか帰ってこない両親が久しぶりに帰ってきたと思えば、女の子を連れてきたのだ。普通おかしいだろう!


しかし、いきなり連れてこられた女の子はとても可愛らしかった。まるで、恋に落ちそうだった。大人しそうで気弱そうでなんとも守りたくなるような…


「この子はれの。今日からあなたの妹で"梶原れの"になるのよ」


ニコニコしていた両親がさらにニコニコしていうのだった_____…





#####



PIPIPIPI…



「んん…」


はぁ。今日もまた1日が始まると思うとどっと疲れが出てくる。俺は部屋中に鳴り響く目覚まし時計を止めた。


…またあの日の夢を見た。

俺の血の繋がらない妹の話。

いたようでいなかったような妹の話。

俺、梶原恋斗にはかつて妹が"いた"。

あの夢の日のように、確かに俺に妹がいた時期もあった。"た"と過去形にするのも意味がないわけじゃない。

共働きだった両親はあまりにお互いが会わないためにすれ違いが起きて離婚。

俺は父に、妹は母に引き取られた。

それが、あの夢の日の2週間後だった。

確かに2週間は俺の妹だったが、もう完全に関わりもなく、俺の淡い思い出となっている。

「今日は何にしようかな」

今は父が海外に絵描きの修行に行っているので独り暮らし同然だ。

布団から出て、眠い中作った目玉焼きを食べた。歯も磨いて…


「ヨシ。行くか。」

準備万端‼︎学校へ行こうとしてる時だった。


ガタガタ、ガタ…ガシャ、ガチャ…


勝手に玄関のドアが小刻みに揺れている。

「なになに、コレ…」


ガチャガチャ…ギィ…


ついに玄関のドアが開いた。

そこから飛び出してきたのは、

可愛らしい同い年くらいの女の子いた。


「恋斗…‼︎ただいま…‼︎」


え?どういうことですか???


そして、可愛らしい同い年くらいの女の子が俺に抱きついてきたのだった。


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