お寿司のがり
「んっ~!!オイシイネェ!」
少し日焼けして赤くなった頬
ぷるっと跳ねる甘エビの
しっぽを唇の間から覗かせて
悶えるシェリーは生粋のお嬢様らしい
「ワタシも家でタベタカッタナァ…」
「実家では何食べてたの?」
「ん~、言ってもワカラナイデスヨ」
確かに。
そう思いながら僕より寿司を
頬張るシェリーに大将、
親父は満足げに笑っている。
「ふ~っ!ごちそうさまです!」
「お粗末様でした!おいっ拓実、
こんなお嬢さんなら毎日連れてこいよ!」
「タ、タイショウ…毎日キマ-っ」
「来させるわけねぇだろ!
シェリー、これ以上失恋すんなよ?」
「オウ…ケチな工藤くんデス」
しょんぼりしていても
シェリーはマイペースに
大学ノートを開いている。
黄色いノートは次の相手に目星がある証拠
僕は帰っていくシェリーの細い背中を
ずっと眺めていた。
「夕焼けの空に恋する息子か~っ!」
「親父っ、そんなんじゃないよ。」
「ほぅ…お前は母さんに似て、
綺麗な顔だから告ったら
あんがい行けると思うけどなぁ」
僕はこんなに美味しい寿司を
握れる手ではない。
寿司をうまく握れたら
シェリーも僕を好きになるかな
バイ・マイ・サイ くまうさぎ @Kumanousa
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