バイ・マイ・サイ
くまうさぎ
君は
僕は君に笑いかけられて
その麦色のまつげが揺れる笑顔に
何故か惹かれてしまった。
「工藤くんっ!大変です!」
そう言うと決まって僕の肩を揺らす
グラグラ。
「どうしたのシェリー?」
なにも知らない、ふりで聞く
「また失恋しましたぁ…」
少しばかりは自覚があるらしく
去年の秋くらいに出会って、
それから聞くようになった
日本人のイメージと現実への非難。
「ワタシ、秋条先輩は
渡辺謙のような人とばかり…ウゥ。」
「まぁまぁ、告白してないんだろ?」
「はいぃ、でも失恋デス」
窓からの太陽を吸収したような髪は
みんなの視線を集めるが、
シェリーの性格を知った人は近づかない
それに、シェリーは故郷のパリで
渡辺謙を見ながら育ち、
渡辺謙のような日本人を夫にするべく
日本に来たのだ
僕なんか芸能人ならそこそこ増えてる
草食系と呼ばれる部類だし、
ジャニーズにいそうと
歴代彼女に言われていた、
だからシェリーには恋愛対象として
見てもらえない。
そんな僕の悩みの種でもある
小さな彼女の背中を
さすりながら僕は心を入れ換える。
「シェリー、そろそろ終わるし
寿司食べにいこっか」
「お、スシっ!好きです、行きましょ!」
失恋話は毎日のように聞かされる。
そんな大冒険な一目惚れをする
彼女を元気づけるのは
ただ一つ、日本料理…寿司だ。
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