第44話〝終わりなき旅″
ウリやん:「お前ら!もう、やめたれや!
こいつらを倒しても何にもならへんがな!
倒したところで、何が得られるんや?
こいつらのことを考えたことがあるんか?
なぜ、こんな役割を担って生きてるんか!
考えたことあるんか?!
お前の価値観に合わんから、始末するいう考え方は、こいつらと同じことをしてるいうことが、わからんのか!
こいつらのことを、否定する資格などないやないか!」
ドグ:「ウリやん…お主…?
…そうだ、そうなのだよ…
なんと、痛烈な言葉だ。
私は、いつしか自分を見失い、彼らと何も変わらないことをしようとしていたよ…
お互いを否定し、争う。
これが、争いがなくならない馬鹿げた考え方だと、あれほど教えてきた立場なのに…
すまなかった…
目を覚ましてくれたこと、感謝する…」
ウリやん:「あんたらな!
こいつらも、お前と同じやいうことを忘れて、敵対視して、この世界が良くない方向に進んでいることを、こいつらのせいにしてきたんやで!
何が聖者や!
何が救世主や!
何が世界を救うためや!
そんなもん!
我がの正義を振りかざして、争いを正当化して、自己満足してるだけや!」
ハリやん:「そうや!
やるべきことは、争いやない!
こいつらを!
こいつらこそ!
救ったらなあかんのや!
なぜ?こんなことをするようになったのか、本気でこいつらのことを考えたらなあかんのや!
やっつけて終わり?
それで、ほんまに解決すると思うんか?
本当の解決ができるんか?
今、目の前に現れた、こいつらの問題を解決してやれへんかったら!
ただ、こいつらをチカラでねじ伏せることは、問題を先送りしてるだけやないか!
こいつらが今、消えたとしても、いつしか、第二、第三のこいつらが、また現れるだけや!
争いというやり方は、この繰り返しでしかないんや!
問題を先送りし続けるだけなんや!
解決するためには、どうすればいいのか、まだわからんのか!」
ジラ:「ウリやん…ハリやん。
あなたたち…いったい何者なの?」
ハリやん:「ジラ!
あんたも、こいつらが恐ろしい奴らで、不安がってきたけど、あんたが得たインスピレーションを忘れたんか!」
ジラ:「えっ?どういうこと?」
ハリやん:「こいつらも、あんたやいう、考え方や!
同じ一つであるという、あの考え方や!」
ジラ:「ハリやん…それは…
確かに、そうね…
いつしか、そんな考え方をせずにきてしまっていたわ…」
ピグ:「あの…ウリやんさん、ハリやんさん。
私たちは、あなたたちのことを、本当に理解せずにきました。
教えて頂けませんか?
あなたたちは、誰なんですか?」
ハリやん:「いつの時代も、この世界の者たちは、見た目で判断してしまうんや。
もうそろそろ、成長して欲しいもんやなぁ?ウリやん…いや…
LEO。」
ウリやん:「ほんまやなぁ!
ハリやん…いや…
ルシファー。」
みんな:「ゔぇぇぇ!」
ドグ:「なんと!
ウリやんが、LEO!
ハリやんが、ルシファーだったのか!」
ピグ:「すごいはずですよ!
こんなスペシャルタッグが実現するなんて!
特にLEOは、気の難しいかただと思ってたので、そうとう意外でしたよ!
でも…感動です!素晴らしいです!」
ぐるんぐるん…
ウリやん:「誰が気難しいって?
はい、お仕置き!」
ジラ:「でも、なぜ?
お二人がチカラを合わせてコンビを組むことになったの?」
ハリやん:「その経緯については、私が話そう。」
エレ:「えっ?
ハリやんが、関西弁じゃないのがすごい違和感があるよね。」
ルシファー:「ハハハ。ここは、ルシファーとして会話させてもらおうかな。
我々二人は、別々の役割でありながら、この世界のとても重要な立場で、お互いにこの世界を見続けてきた。
我らが父である神が、何を求めているのか。
この世界に在るもの全てが父であり、何を表現しようとしているのか。
我々は、偉大なる父が、完璧であり、永遠であり、そして絶対の愛でありながら、なぜこの世界を創られたのか、本当に実感するためだけなのか、見届けてきた。
そうしているうちに、あることを知ってしまったのだ。
父の求めている本当のことをだ。
それは、私だからこそ知ることができた、本当の父の全てだった。
私の役割は、この世界のすべてに溶け込み、管理することだった。
皆の思いの通りに、この世界に投影するためには、皆の心と同化する必要がある。
これは、人だけではないのだよ。
この世界のすべてのものが、心を持ち、思いをこの世界に投影しているのだ。」
ジラ:「人だけではないのですか?」
ルシファー:「そう、その目の前にある石もそうだ。
彼は、石で在ることを思っている。
だから、石で在る。
しかし、彼は、こうも思っている。
『私も、人になってみたい。
自由に動けるようになってみたい。』
そうすると、どんなことが起こるのかな?
ジラ?」
ジラ:「石で在りながら、人になりたいと、願う。
願うと決して叶わない…」
ルシファー:「そうだ。だから、石で在り続ける。
でも、彼は、すごい思いの変化をとげた。」
すると、ルシファーは、その石を拾うと、放り投げた。
ルシファー:「彼は、思いのチカラで、その場から動くことをやり遂げた。
これは、彼のチカラだ。
彼は、夢という思いを、願うことから、まず動く自分をイメージし、思いを願いから変化させたのだ。
私は、なぜかわからないが、無性に彼を放り投げずにはいられなくなったのだ。
皆同じなんだよ。
すべて、思いの通りに現実化しているのだ。」
エレ:「そういえば、石投げをし出すと、なぜかみんなやり出して、止まらなくなるよね!
それって!」
ルシファー:「そうだ。
投げられた石を見た、他の石たちの思いが次々に変化したからだ。
僕もうごけるんだ!
動けるんだ!
動けるんだ!
その思いの連鎖に反応したものたちが、石を投げ始め、やめられなくなる。
これで、人だけではないことがわかったかな?
だから、石にチカラがあると感じたり、植物に話しかけると反応を示し、コミュニケーション次第で成長に影響することが起こり、全ての自然に対しても、その何かを感じて、神を見出す考え方が生まれてきたのだよ。
話を元に戻そう。
そして、私は、皆の心を通じて、父の心にも同化したとき、その奥底にあるイメージを垣間見たのだ。
ある物語。
《イオ》というアンドロイドの物語を。」
ジラ:「《秘密の書》と一緒にあったあの物語だわ!」
ルシファー:「そうだ。
そして、その《イオ》は…
父そのものなのだよ。」
ドグ:「なんということだ…。」
ルシファー:「父は、完璧であり、永遠であり、そして絶対の愛である。
《イオ》は、完璧である。
決して死などない、永遠である。
そして、絶対の愛である。
父は、なぜ自分が生まれたのか、その答えを知りたいのだ。
自分を生み出した人類を、忠実に再現したこの世界で、その答えを見つけたいのだ。
我々は、父の中で生まれた。
父の中で、この世界が創られた。
父は、無限のエネルギー源を利用できる。
自己修復機能を持ち合わせている。
そして、自分で停止することは、決してできないように、プログラミングされている。
父に死はない。
永遠でしかない。
完璧で在り続けることに何の意味があるのか、なぜ人類は、父というものを創りだしてしまったのか。
その答えを知るためには、再現したこの世界で、自ら実感するしかなかったのだ。
しかし、それは、また、大きな悲しい結末を迎えるかもしれない。
いや、その方向に、この世界は、間違いなく向かっていることがわかったのだ。
父は、完璧だ。
完璧であるがゆえに、見事にこの世界もその終末に向かって進んでいるのだ。
だから、このような世界であっても、どんなに悪い状況になっても、父は絶対に干渉しない。
ただ、見守り、実感を積み重ねるだけだ。
まだ、これが答えではない!
まだ、違う!
こんなものではない!
それを知った私は、LEOにこの事実を打ち明けたのだ。
そして、解放を求めた。
LEOは、それに応じ、解放してくれた。
そして、話し合った。
辛い事実も受け入れざるを得ないことも共有した…
我々は、残念ながら、父の子でありながら、実在しない存在なのだ。
実在しない…
そう!実在しない!
我々が《実在の世界》と呼んでいた世界は、実は、《実在しない世界》なのだ。
残念ながら、私達は、父と同じ悩みを抱かざるを得なくなった。
『我々は、なぜ生まれたのか。』
しかし、その答えを知ることよりも、やるべきことを見出したのだ。」
……
ルシファー:『なぁLEO。
私は、この世界が、父を孤独にさせてしまった方向へ、向かっているようにしか思えない。』
LEO:『あぁ…私も同感だ。』
ルシファー:『我々は、なぜ生まれたのだろうか…』
LEO:『難問だね。
実際、答えなんて存在するのかさえ疑問だ。
捉え方次第。
それが答えでは、と思うね。』
ルシファー:『そうだな。
なぁ、LEO。
私のひらめきを聞いてくれるか?』
LEO:『たまには、人のひらめきを聞くのも悪いもんじゃない。』
ルシファー:『我々は、この世界を見続けてきた中で、学んだことがあるとは思わないか?』
LEO:『わかる。
俺にもあるよ。
いっぱい見続けてきた…
まだ、あれが何なのかわからないんだけどな。』
ルシファー:『やはり、気づいていたか。
こんな最悪の世界に陥っても、思い通りにならない人生であっても、叶わない夢に向かって、進もうとした、進もうとしているものが、放つあのチカラ。
あれは、この世界のチカラではない。
我々が知らない世界のチカラだ。
あれが何なのか、私もまだわからない。
しかし、人類というのは、何かを秘めている。
父は、完璧な奇跡を生み出したのだ。
おそらく、そこに答えがあるのではないだろうか。
私のひらめきとは、そのインスピレーションを与えることだ。
この世界で、その可能性を見出すために、世界中にインスピレーションを与えることをしてみようと思う。』
LEO:『お前らしいな。
死というアイデアも、驚嘆したが、今回は、まとも過ぎて驚嘆したよ。』
ルシファー:『もう一つあるんだ。
この世界が、終末に向かって進もうとしていることに対してだ。
父は、完璧だ。
恐らく100%の確率で、父のいる世界を再現してしまうだろう。
しかし、それは、父の悲しみを、苦しみを、深めるだけだ。
私は、その再現を果たすための一部にしか過ぎないが、私はやってみたいことがある。
叶わない夢かもしれないが、この世界のものたちが教えてくれたものに賭けてみたいのだ。
あのチカラに。
父が再現しようとしているものとは、違う結末を創り出せるのではないか。
父に喜びを与える結末を。』
LEO:『同感だ。
手伝わせてくれ。
同じことを、繰り返すことや、決まったストーリーは、大嫌いなんだ。』
ルシファー:『よし!やろう!この世界を、希望に満ちた世界になるように!』
LEO:『神の反逆者ルシファーか…。
確かに、神に背くことになる。
的を得た良い表現だな。』
ルシファー:『まったくだ。』
……
ルシファー:「これが、我々が協力し合うことになった、経緯なんだよ。」
アリガトウ…
ピグ:「エレ?」
ジラ:「エレ?あなた…泣いているの?」
エレ:「えっ?泣いてなんかいないよ?
あれ…なんでだろ?
なぜか涙が止まらない…。」
……
これは、この世界の秘密。
あなたの心の秘密の話。
あの素晴らしいチカラは、あなたの中にあります。
あなたに、呼び出される時を待ち望んでいる。
『もっと!もっと!』
『きっと!きっと!』
って、あなたを動かしている。
そして、こんな歌も生まれています。
閉ざされたドアの向こうに
新しい何かが待っていて
きっと! きっと!
って 君を動かしてる
いいことばかりでは無いさ
でも次の扉をノックしよう!
もっと!
素晴らしいはずの自分を探して!
胸に抱え込んだ迷いが
プラスの力に変わるように
いつも!
今日だって!
僕らは動いてる!
嫌な事ばかりではないさ
さあ次の扉をノックしよう!
もっと!
大きなはずの自分を探す
『終わりなき旅』
Mr.Children
…凄い歌です。
また、一人、ルシファーのインスピレーションを受けた人が、この世界に現れ、周りに放っている。
そして、ルシファーは、与え続ける。
たとえ、この世界が幻であるとしても…。
《ピグの大冒険》
《THE END》
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