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入学式も終わり教室ではクラスメイト同士の自己紹介が始まっていた。めんどくさいなぁ。どうせほとんどの人と関わることなんて無いのになんでそんな人達の自己紹介を聞かないといけないんだろう。

「我の名は黒崎。貴様らと馴れ合う気は無い。我は我と契約を交わした者としか喋らないのだ」

なにその自己紹介。かっこよすぎて聞く気全くなかったのに顔上げて聞き入ってしまった。

「はい、佐藤舞さん。ふざけないで自己紹介してねぇ」

え?

「はい、ごめんなさい...。佐藤舞って言います...。よろしくお願いします」

せっかくかっこよかったのに担任の先生ときたら...。

「まったく、舞のやつちゃんとやらないから...」

前の席のフランがぼそっとそんな事言っている。そういえば今自己紹介してた人ってフランが言ってたフラン達の友達か。

かなり個性的だな。面白そう。

「ボクの名前は天野鈴。別にそこまで喋ることはないだろうけど、一応クラスの人ってことでよろしくお願いします」

鈴さんってやっぱこういう自己紹介になるんだ。想像通りだな。可愛いなぁ。この学校に来てよかったな。

やっぱり僕って単純だな。まあ、単純な方が楽なのかもしれないな。その点はよかったかもしれない。

それにしても可愛いなぁ。こんな可愛い子と学校生活を送れるなんて僕って幸せだな。

「オレの名前は篠崎心葉だ。まあ、よろしく」

あ、次僕の番だ。えぇ、どうしよう。まあ、適当でいいよね。

「僕の名前は不破薫。これからよろしくね」

全然よろしくなんて思ってもいないのによくこんな言葉出るもんだ。

僕の後も自己紹介は続き、みんなの自己紹介は終わった。

「それでは、みなさんの自己紹介は終わりましたね。私は古咲凛。今日から君達の担任をやらせていただきます。これから1年間何があるかわかりませんが、どうぞよろしくお願いします」

なんか、綺麗な人だな。喋り方も見た目も綺麗な人だった。別に先生が綺麗だからって先生が好きなんて、思うことも無いのだが。

先生の自己紹介で自己紹介の時間が終わった。それで今日の学校でのやることはすべて終わったようだ。

やることが無いのなら後は帰るだけかな。そう思っていると目の前のフランがこっちを見てきた。

「なあ、今日暇?これからあいつらと遊ぼうと思ってんだけど。お前も遊ばね?」

まあ、確かに僕はこれから特に予定無いし。鈴さんがいるならフランについて行っても損は無いと思った。

「うん、いいよ。で、どこ行くの?」

「オレの家」

え?


そうして放課後、フランの家に遊びに行くことになった。初めて友達の家に遊びに行く。しかも、今日友達になったばっかだった。とても緊張する。

「で、フラン。今日は何すんの?」

鈴さんがフランに質問する。少し面倒くさそうな顔。そんなところがすごく可愛い。

「今日は特に何も決まってないけど。今日から薫もいるんだしさ、歓迎会的なのでもパーっとやろうぜ」

「ふっ。まだ、我はそいつと契約を交わした覚えなどないのだがな」

そう言って僕の事をチラッと見る舞さん。たしか、自己紹介で黒崎って名乗ってたけど黒崎の方で呼んだ方がいいのかな?

「黒崎、こいつラノベ好きだぞ」

「えっ?まじ?ならいいわ、よろしく〜」

え?軽い!軽すぎるよ!今すごくびっくりしたよ僕。口調変わりすぎだし。まあ、いっか。友達として認められたなら。

「よろしく。黒崎の方で呼んだ方がいいかな?」

「どっちでもいいよ〜。好きな方で呼んで」

まあ、それなら黒崎の方で呼んだ方がいいかな。そっちの方が僕としても楽かもしれない。

「やっと着いた...」

「鈴、どうした?疲れたか?」

鈴さんの顔がなんだかすごくやつれている。あれ、さっきまで普通だったのに。

「なんだか、急に疲れちゃったんだ。すまん」

「いや、別にいいんだけどさ。まあ、家に着いたことだし家の中入ろうぜ」

フラン達に続いて僕もフランの家の中に入る。中の広さも外観も普通だ。普通の家って感じだ。至って変わった所の無い家。ただ、フランの部屋だけは違った。壁一面に貼られたポスター、そして、棚には大量のフィギュア。それから、少しだけラノベと漫画、テレビゲーム。

「いつも思うけど、フランの部屋ってオタクって感じするよね」

少し呆れた感じに言う鈴さん。

「お前の部屋も変わらないだろ」

抵抗するフラン。

鈴さんの部屋か...。入ってみたいな。是非

「ここまではひどくない。あとボクの部屋は本が多いし」

そう言いながら鈴さんはベッドに座る。後の二人も適当なのかそれともいつもの定位置なのか、座っている。僕も座った方がいいのかな。

「どうした?座らないのか?」

いや、そんなこと言われてもどこ座ればいいんだよ。

「どこ座ればいい?」

「どこでもいいよ」

そう言われたので僕は少しだけベッドに近い位置に座った。やばい、鈴さんが近くで見れる。素晴らしい。しかも、位置的に鈴さんの足が目線と同じ高さ。大丈夫かな。足見てるのバレないかな。

「どうした薫?そんなキョロキョロして」

鈴さん見てるのバレないように辺りをチラチラ見てたのがバレたか。

「いや、人の部屋に入るの初めてで...。なんか、色々あるなぁって思って」

誤魔化すの下手だったかな?

「そっか。まあ、今日はゆっくりしていけよ。なんか、読む?少しだけならラノベも漫画もあるしさ」

「じゃあ、なんか貸してくれる?」

「おけ」

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すべてはあの娘のために 睡眠妨害 @kori939

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