第2話 僕らの世界の哀しいルール(林檎視点)
(大嫌いだ!)
そんなココロの声を聞いた気がしました。
私は、ふと思い出の滑り台を振り返りました。
そして、哀しくなって苦笑しました。
なぜ、ひとりで見上げてたかって、
もう一緒に見上げる彼がいないからです。
彼は2年前の今日、誓いのKISSの際、私をひとり置き去りに亡くなってしまったから……。
「どうしたの?」
そんな問いを投げてくれる傍らの青年に私は微笑みます。
(ごめんね)
(君を幸せにしたら、彼のあとを追うから……)
彼のいない間、出会った人、
何度断っても、支えると言ってくれた人、
だけど、だけど駄目なんだ。
私は彼を愛してる……。
公園を先に出てゆく私を青年が見つめている。
そんな事気づいてる。
だから、泣くのをぐっと我慢して、目一杯笑ったよ。
「ありがとう☆ 好きよ」
残された私を青年が抱きしめる。
そして、驚く私にKISSをした。
青年は震えていた。
「どうして我慢するんだよ……っ」
そしたら、いっぱい切なくて、いっぱいいっぱい泣いちゃった。
彼への愛と、誰かに助けてほしくって。
「助けて……」
「当たり前だよ!!」
「ごめんね」
「何が!!」
「私、これ以上は無理みたい……」
ハッと青年は身をひきました。
私の体は透けてゆきます。
「待!!」
「ごめんね。大切にしてくれてありがとう……!」
私を待っている人のいるところに帰ります。
どうか、幸せに生きて。
end
僕らの世界の哀しいルール @arisuneko2
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