第49話-終わりのみえない君へ。
久屋 錦は、屋上で眠る白鳥 八熊を起こす事もなく、優しく抱き上げ、隠れ家のベッドに眠らせた。
彼は、通常では考えられないほどの時間を生きている。
…それはもちろん、精神的な意味でだが、無限に近い時を生きた彼の脳への負担は計り知れない。
久屋 錦たちにとって、一瞬で過ぎ去ったように感じる今日という1日も、幾度となく失敗し、際限なくやり直し、終わりの見えないタイムリープから得られる未来視と、脳の経験的学習から得られた 彼の射撃能力の賜物なのである。
ようやく、終わったのだ。
静かに寝息を立てる相棒を、久屋 錦は気が済むまで寝かせてやることにした。
相棒を起こさないよう気を付けながら、米田 豆子から返還された力を、掌を通して相棒に返す。
終わりの見えない今日を生きた、君へ。
「…ありがとう。お疲れ様。」
そう言って久屋 錦は、この街から姿を消した。
BARに残されているのは、眠り続ける相棒と、中村 椿の姿だけだった。
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