第30話-みえはじめるおわり。
名古屋というこの街は、狭いようで広い。
広いようで狭い。
エリア毎にやはり特色があって、歩いている人間の色もそれぞれ違う。
名駅エリアにはヒデヨシがいるように。
栄エリアには私がいるように。
大須や、他のエリアにもこういった人間がいるのだろう。
私は八熊くんからの連絡を受け、旧蘭の館、現在のフラリエへと車を走らせていた。
ヒデヨシの能力は圧倒的だ。
しかし、今は簡単に移動はできないだろう。
そして…、彼は恐らく単独犯だ。
八熊くんが今も無事なのが、その証拠である…と思う。
フラリエに到着すると、見覚えのある2人が入り口にいた。
急いで車から降り、声をかける。
「こんにちは、若宮 蘭さんと…ごめん、君の名前は知らないんだ。」
少し驚いた表情を浮かべたまま、彼女は答える。
「初めまして。米田 豆子です。あなたは…何者ですか?」
「私は久屋 錦だ。電話でも聞いていると思うが時間が無い。車に乗ってくれ。」
「そう言われたって、信じられません。何が起きているんですか?」
「予知夢とタイムリープは役に立っただろう?私は君達の味方だ。」
そう言った途端に、彼女達の表情が変わる。
「フラリエ、大丈夫。乗ろう。」
「うん。」
車に乗り込むと、すぐに八熊くんからの着信。
「おつかれさま。無事合流できたよ。」
「良かった。私は県庁裏にいます。」
「了解した。すぐに向かう。」
県庁裏に着くと、すぐに八熊くんが乗り込んできた。
「先生、拠点は変更しましょう。場所はお任せします。」
「そうだな。万全を期すべきだ。お二人さん、落ち着ける場所に着けば全て説明する。少しの間信じていてくれ。」
「…あと、そうだ。携帯電話の電源は、ここで全員切ることにしよう。」
少女達にそう伝え、私は「とっておきの場所」へと車を走らせた。
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