第25話-ヒデヨシ

私は、足早に名駅をあとにした。

中村 椿…、彼が「ヒデヨシ」であるとすれば、一刻も早くここから離れなければならない。

尾行されていない事を確認し、栄のいつものカフェで彼…八熊くんと合流する。


「先生、お疲れ様です。いかがでしたか?」


「…正直わからないが、当たりだ。しかし彼は危険すぎる。」


「…そうですか。今後どうしますか?」


「こちらから手出しはできん。」


敵は未知数。こちらは2人。

取れる手は…とにかく、守りながら情報を集める事だけだ。


「今後は、若宮家の保護に全力を注ぐ。君の力が必要だ。」


「わかりました。…先生、敵の、私の敵の名を教えてください。」




「中村 椿と、そう名乗っていた。本当かどうかはわからん。」


改めてその名を読んだ時、ようやく疑念が確信に変わった。


中村区 椿町には、太閤通が通っている。

太閤、つまり…ヒデヨシ…。



…本当に、ふざけた名前だ。

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