第9話-758514回目の朝

フラリエとの最後を過ごして、タイムリープを経験する中で、私はいくつかの「失敗の条件」を見出した。

まず一つ目は、「明るいうちに帰ろうとすること。」

二つ目は、「最初の行き先である、セントラルパークでの買い物をしないこと。」

三つ目は、「ある話を聞いてしまうこと。」


今回の失敗の要因は、三つ目の「ある話」を聞いてしまうことだった。

ここから私が、いつもの目覚まし時計で目覚めるまでの間、前回フラリエが言った「ある話」を聞いてもらうことにしよう。



「ねぇ、ココ。」

「今日は、…ううん、いつも遊んでくれてありがとう。」

「私、いつも迷惑ばっかりかけちゃって、ごめんね。」


「私ね、今度引っ越す事になったんだ。」

「三重県にある、親戚のお家で面倒見てもらえるんだって。」

「だから…、今までありがとう。」




この言葉に対して、あらゆる返答を試してみた。

しかし現実には、フラリエがこの会話を始めた時点で巻き戻しが発生している…ような気がする。

つまり、私は「このセリフが出ないルート」を歩まなければならない…のだが、どこに行っても、幾度となく失敗している。












…煩わしい目覚まし時計の音が鳴り響く。

日付を確認するが…やはり1月23日。

私はまた、失敗したんだな…。


こうして私は、758514回目の「今日」を迎えた。

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