第2話-よくあるはなし

タイムリープ


これは一見すると便利な能力ではある。

RPGのように、プレイヤー側が記憶を持っていられるならとても優秀な能力だと言えるし、少なくとも「戻される以前」の記憶があるなら、つまりは戻った後の未来の記憶があるという事だ。

しかし、某キョンくんたちのように、戻される以前の記憶が消えてしまうのならば話は別である。

戻されているという自覚もないままに、永遠に近い時間を繰り返し過ごすことになるのだ。

便利というよりは、一種の呪いのような物になってしまう。



さて、そんな私が何度もこの朝を迎えているという事実を自覚しているという事は、必然的にこのタイムリープの性質は前者の「記憶を保ったまま、過去に戻されている」パターンだ。

これはなかなかに都合が良い。

記憶を辿れば、何で失敗して戻されているのかがわかるし、傾向と対策のような物がわかるからだ。


そう、わかるはずなのだが…。


私が「今日」を迎えるのは、これで758513回目。

つまり、2000年を超える回数の「今日」を経験した事になる。もう無理ゲーだろ…常識的に考えて…。


しかし、敢えて「今日」が小説になるのだから、今回のタイムリープで解決しないと、いわゆる「小説のテンプレ」を踏襲する事が出来なくなるわけで…、もちろん8回も同じループを書くほどの勇気も無い。

でも名古屋市の市章が八を丸で囲んでるデザインだから、これはフラグなのか…?等と考えながらも、現在の絶望的な状況を整理し終わった私は諦めて眠る事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る